抄録
計測機種,測色時の背景色並びにコンポジットレジンの厚径が,コンポジットレジンの経時的測色値に及ぼす影響について観察した.
直径10mm,厚さ1mmと2mmのレジンディスクをSilux Plus(3M社)を用いて作製した.試料を37℃ の人工唾液中に浸漬し,硬化1日後,1週間,1カ月,2カ月,3カ月,6カ月,9カ月及び1年後の色調を,背景色なしと背景色が白色板の場合について測色した.測色には,村上色彩技術研究所製高速分光光度計CMS-500にフレキシブルセンサー FS-3を組み合わせたもの(CMS-5)とFS-1を組み合わせたもの(CMS-2)並びに同社製ライトガイド方式色差計CD-270型に改良型ライトガイドを組み合わせたもの(CD-270改良)を用いた.
1)同一試料に対する測色回数が多くなると測色計より発する光の影響で,コンポジットレジンに色調変化が生じる可能性が観察された.
2)CD-270改良使用時には,測色精度が劣り,明確な経時的色調変化が得られにくかった.
3)CMS-5とCMS-2の両機種は,レジン厚径が1mmと2mmの両者について,背景色の有無にかかわらず,経時的な色調変化が観察され,レジンの経時的変色の測色に適していた.