小児歯科学雑誌
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小児における歯周炎の早期発見に関する臨床エックス線的研究
(特に歯槽骨縁の発育過程における変化について)
外木 徳子町田 幸雄
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1991 年 29 巻 4 号 p. 814-823

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抄録

小児の歯槽骨は歯牙の交換やそれ自体の成長発育に伴う変化があるため,初期歯周炎による病的変化との鑑別は容易でない.そこで今回,臨床的に正常な歯周組織を有すると診断された小児40名について,定期診査のため乳歯列期から永久歯列期まで年1回撮影した下顎臼歯部の口腔内エックス線写真を用いて成長発育に伴う変化を観察した.その結果,
1)各歯牙に隣接する歯槽骨縁の高さは歯牙の萌出および交換により変化し低下する.そして, 小臼歯部は第二小臼歯萌出完了後1~2 年まで増加し,その後, ほぼ安定する.第一大臼歯近心部は第二小臼歯萌出完了5年後に安定した.
2)槽問中隔の骨頂部の形態は,両部位とも乳歯列期では,平坦型と緩斜面型が多いが,歯牙交換期には多様化する.そして第二小臼歯萌出完了とともに再び平坦型と緩斜面型になる.第一小臼歯と第二小臼歯間は第二小臼歯萌出完了後3年から4年,第二小臼歯と第一大臼歯間は第二小臼歯萌出完了後5年で全て平坦型に移行する.
3)歯槽硬線は,第二小臼歯萌出完了後も特に骨頂部で不明瞭なものが多く,槽間中隔の形態と考え合わせると槽間中隔の完成は第一小臼歯,第二小臼歯問では第二小臼歯萌出完了後3~4年,第二小臼歯,第一大臼歯間では第二小臼歯萌出完了後5年以降であると思われる.従って,この時期に同部位の病的吸収と生理的変化を鑑捌することは極めて慎重に行わなけれぽならない.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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