小児歯科学雑誌
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乳歯列に発現した乳歯過剰歯の口腔内所見
一瀬 智生小倉 勇人吉田 かおり長坂 信夫
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1992 年 30 巻 5 号 p. 1081-1093

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抄録
我々は,本学小児歯科外来を訪れた患児の中で,乳歯列に発現した乳歯過剰歯を有すると思われる4症例に遭遇した。3歳9ヵ月男児,6歳4ヵ月男児,4歳3カ月男児,3歳6カ月女児で,男児の3症例は上顎右側乳切歯部に,女児の1症例は下顎乳中切歯部に発現したものであった。家族歴には,6歳10ヵ月の同胞の兄に右側上顎乳中切歯が双生歯を呈し,その他,特記すべき事項はない。既往歴は,右側口唇裂の既往を有する症例が1例あり,その他,特記すべき事項はない。
過剰歯はいずれも乳歯列弓内に存在し,色調は乳歯色,歯冠形態は乳切歯型をとっていたが,若干の形態異常を呈するものもあった。形態異常には,辺縁隆線の発達,偶角の鈍角化,歯冠長の増加などが認められた。乳歯列の過剰歯が歯列に与えている影響として,乳歯過剰歯および隣在歯の捻転,正中線の編位,捻転に伴う切端咬合,側方歯群の1歯対1歯の咬合が認められた。
エックス線診査の結果, 乳歯過剰歯の歯根形成状態, 歯根吸収状態, 歯髄腔の状態, そして歯冠歯根比に特に異常はみられなかった。また,乳歯過剰歯の後継永久歯の存在は,4例中3例に認めた。
乳歯過剰歯と判定するにあたって,男児の2症例は歯冠形態から乳歯過剰歯と判定できたが1例は隣在歯と同形態を呈し判定に困難を極めた。また,女児の1症例は,後継永久歯胚の位置と大きさによって乳歯過剰歯と判定することができた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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