小児歯科学雑誌
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小児の環境要因と歯肉炎に関する研究-生活実態と歯肉炎について
宮沢 裕夫Yu-Faang Lin枝 早苗岩崎 浩上田 和樹中村 浩志外村 誠
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1994 年 32 巻 4 号 p. 801-810

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抄録
小児の歯周疾患の多くは生活に起因するといわれ,齲蝕と同様に日常生活との関連が深く,様々な要因が相互に絡み合いながら発症・進行し増悪するといわれている.本研究では単一の要因として捕らえにくいとされる小児期の歯肉炎と生活習慣を特徴付ける諸要因との関連を検討するための予備的研究として多変量解析の手法を応用し分析した.
1.食習慣と歯肉炎との関連では,小学生,中学生とも「歯科定期検診」(保護者,子ども)といった健康観の良否が罹患程度に寄与していた.また,食習慣では「甘味食品を好む」「間食を就寝時」「不規則に摂取」することの良否が歯肉炎罹患との関連が認められた.
2.各要因項目間の類似度関係をパターン化すると,罹患程度が高度なものは小学生では「間食が不規則」「就寝前の間食摂取」「固い食品を好まない」要因に加え,「刷掃の不良」が影響して増悪する傾向が認められた.
3.軽度なものでは「齲蝕」は存在するものの「刷掃回数」「間食の規則性」「甘味摂取」が良好なもののパターン化がみられた.
4.中学生では歯肉炎重度と食習慣との関連は認められず,中等度では「咀嚼時間」「甘味摂取不良」「歯科定期検診」といった健康感を示す項目の関与が認められた.
5.中学生の軽度な罹患では「甘味摂取」「間食の規則性」が良好であり,さらに保護者,児童・生徒ともに健康感を示す項目が良好な傾向が認められた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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