小児歯科学雑誌
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側面頭部X線規格写真による乳歯反対咬合者の顎態の変化に関する研究-乳歯列期内の変化
永原 邦茂浜島 誠一朗渡辺 修伊藤 和明飯塚 哲夫
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1994 年 32 巻 5 号 p. 1053-1066

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抄録

乳歯反対咬合者の中でどのような形態的特徴を持つものが乳歯列期中に自然治癒するかを知る目的で,乳歯反対咬合者の定期的な経過観察を行った.その結果,乳歯列期中に反対被蓋が自然治癒したものと,反対被蓋のまま経過したものがあった.資料は自然治癒したもの(n群)13例,反対被蓋のまま経過したものの中でn群と同様な反対被蓋範囲のもの(r群)16例の女児の経年的な側面頭部X線規格写真である.両群の角度・距離計測を行い,以下の結論を得た.
n群の平均成長では,SNB,SNPの減少およびSN-Gn,Ramus(SN)の増加に見られるように下顎骨の後下方への回転および上顎乳中切歯の唇側傾斜および下顎乳中切歯の舌側傾斜により自然治癒した.一方,個成長でも,自然治癒の変化として,(a)上下顎関係の良好になったもの,(b)下顎骨の後下方回転したもの,(c)上下顎乳中切歯の歯軸傾斜が変化したものの3パターンがあり,これらが複合して自然治癒にかかわっていた.一方,r群においてもn群と同様に平均成長では,下顎骨が時計回りに回転している.しかし,個成長では,個々の計測個所において自然治癒の方向に変化するものもあったが,上下顎関係の悪くなったものも多く認められた.また,変化のパターンはn群と異なり単独のものが多かった.
r群においてもn群と同様な骨格性の変化を起こした例もあったが,r群はn群よりもオーバーバイトが大きいために反対被蓋の改善には至らなかった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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