小児歯科学雑誌
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小児反対咬合症例における永久中切歯の歯軸変化と上顎前方牽引装置がそれらに及ぼす影響について
村上 照男阿部 潔梶山 啓次郎松田 政登鈴木 陽茂呂 直展小島 哲一郎
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1995 年 33 巻 1 号 p. 17-23

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抄録
未治療乳歯列反対咬合者の上下永久中切歯の歯軸角の経年的な変化と,さらに同時期に上顎前方牽引装置を適用させると,それに如何なる影響を及ぼすかを側貌頭部X線規格写真を用いて調べた. 資料は未治療群として初診時(ステージA)平均年齢4歳3か月の時,乳歯列反対咬合でその約1年6か月後(ステージB)も乳歯列反対咬合,さらにその後約1年後(ステージC)下顎永久中切歯が萌出完了後も反対を呈していた20名と牽引群との比較に際して加えたステージA-B間のみの8名,ステージB-C間のみの4名である. 牽引群はステージA-B間に上顎前方牽引装置を適用し被蓋の改善が得られた13名およびステージB-C間に適用した14名である. そして,以下の様な結果を得た.
上顎永久中切歯の歯軸角はステージAからCを通じてはステージA-B間で減少しB-C間で増加する傾向を示した. 下顎永久中切歯はステージA-B間では特徴のある傾向は認められないがB-C問になると明確な増加傾向を示した. 上顎前方牽引装置を乳歯列反対咬合に用いるとステージA-B間においてもB-C間においても,未萌出上顎永久中切歯を有意に唇側傾斜させ,又,下顎永久中切歯については未だ萌出していないステージA-B間でも,萌出中であるB-C間においても有意に舌側傾斜させた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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