抄録
本学歯学部附属病院小児歯科外来において経験した歯冠軸傾斜度60度以上の埋伏上顎中切歯を有する患児16名(男児5名,女児11名)について埋伏歯発見の経緯,埋伏の原因,埋伏部位の左右差,初診時年齢分布について調査した. また開窓・牽引を行うか,抜歯処置を行うかの判定基準として歯冠軸傾斜度,歯根彎曲度,歯根形成度について比較検討した.
その結果,開窓・牽引症例は初診時年齢平均7歳5か月,歯冠軸傾斜度は平均88.8度,歯根彎曲度は64.0度,歯根形成度はRi~R1/4が2歯,R1/4~R1/2が3歯,R1/2~R3/4が2歯,R3/4~Rcが1歯であった. 一方,抜歯症例は初診時年齢平均9歳6か月,歯冠軸傾斜度が平均111.6度,歯根彎曲度が平均91.6度,歯根形成度はR3/4~Rcが4歯,ついでRcが3歯であった.
開窓・牽引処置を行う際の判定基準として歯冠軸傾斜度の他に歯根彎曲度,歯根形成度,初診時年齢なども考慮することが重要であると考えられた.