小児歯科学雑誌
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小児口腔からのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の分離とその性状
鈴木 淳司鈴木 隆子志俵 千賀子香西 克之長坂 信夫
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1995 年 33 巻 1 号 p. 36-41

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抄録
黄色ブドウ球菌は化膿性疾患の起炎菌の多くを占める病原菌である. 近年,院内感染の原因菌としてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が問題視されている. 我々は,本学附属病院小児歯科外来を受診した健常な小児100名の口腔よりMRSAの分離を試み,以下の結果を得た.
1.黄色ブドウ球菌およびMRSAの検出頻度は,それぞれ41.1%および10.0%であった. これを5年前の結果と比較すると検出頻度が上昇しており,特にMRSAは約5倍もの増加を示した.
2. MRSA分離株はすべてのβ-ラクタム剤のほか,他の多くの化学療法剤に対しても耐性を示した.
3.すべてのMRSA分離株には薬剤感受性,コアグラーゼ型および菌体外毒素産生性などの疫学マーカーによる分析からは同一と判断される株は存在しなかった. 以上のことから,健常な小児口腔においてもMRSAが検出され,しかもその割合が近年増加する傾向があることが示された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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