小児歯科学雑誌
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中心結節の破折により歯内療法を施した小臼歯7歯の臨床的観察
八重澤 貴子蓜島 桂子富沢 美惠子野田 忠
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1995 年 33 巻 4 号 p. 833-841

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抄録
新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来において,昭和54年9月から平成6年6月までの14年9か月の間に経験した,中心結節の破折が原因で歯内療法を施した歯根未完成歯7歯の経過について,臨床的並びにX線的に観察を行った.
1)全症例の観察期間は,最短8か月から最長7年5か月であった.
2)初診時年齢は,9歳2か月から12歳7か月であった.
3)歯種は下顎第二小臼歯が5歯,上顎第二小臼歯及び下顎第一小臼歯が各々1歯で,初診時の歯根形成状態は歯根長の2/3から3/4程度であった.
4)処置内容は,カルビタール®による生活歯髄切断法1歯,ビタペックス®による根管充填を,抜髄及び感染根管治療後に行ったものがそれぞれ3歯である.
5)X線写真より,生活歯髄切断例では約3週間で切断部位での庇蓋硬組織の形成が確認され,正常な歯根発育が見られた. 抜髄例では3歯中2歯に,硬組織による根尖閉鎖後の歯根の伸長が認められたが,感染根管治療例では歯根の伸長は認められず,硬組織による根尖閉鎖のみが確認された. また,根尖部硬組織の添加範囲には症例によって違いが見られた.
6)中心結節の破折の早期発見と適切な処置により,根尖の閉鎖あるいは歯根形成を促すことができた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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