小児歯科学雑誌
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脳性麻痺者の下顎位感覚に関する研究
判別能力について
山口 武人恵木 健二能地 康和伊出 和郎内田 淳岡田 玄四郎佐久間 崇之鬼満 雅中島 一郎赤坂 守人
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1995 年 33 巻 5 号 p. 1024-1028

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抄録

脳性麻痺者における口腔感覚入力の異常の有無を調べるため,脳性麻痺者と健常者を対象に比較検討を行った.被験者は,脳性麻痺者6名,健常者6名であった.下顎位感覚の判別能力は,被験者に10.0mmの基準棒と8.0~9.51nm及び,10.5~12.0mmの試験棒を上下顎中切歯間に保持させ試験棒による開口度が基準棒による開口度と比べ“厚い”か,“薄い”かを回答させその不正解率を求め,以下の結果を得た.
1)CP群と健常群の8.0~9.5mm間の判別能力は基準の開口度に近づくほど徐々に低下し,反対に10.5~12.0mm間の判別能力は,基準の開口度との差が大きくなるほど徐々に高くなる傾向を示した.
2)CP群は健常群よりも8.0~9.5mm間の判別能力は低下し,特に9.5mmでは有意差が認められた.
3)CP群と健常群とでは,10.5~12.0mm間の判別能力は同様であり,有意な差は認められなかった.
以上のことから脳性麻痺者は,末梢感覚受容器から,中枢に至る下顎位感覚入力系に異常があることが認められた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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