小児歯科学雑誌
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歯科ぬりえを用いた診療効果
1 .幼児の歯科診療に対する適応行動
丸山 静江
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キーワード: 歯科ぬりえ, 幼児, 適応行動
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1995 年 33 巻 5 号 p. 1049-1058

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抄録

歯科ぬりえ方法を用いて診療時の幼児の適応行動を器具別及び年齢別に比較検討した.歯科診療を歯磨き,フッ化物塗布,シーラント填塞,充填処置,歯髄処置,診療終了の6段階に分け,診療全体と指標とした器具について評価を行った.この観察対象は2~4歳児延べ5,070症例である.
1.各診療段階の器具に対する幼児の適応行動を初診時の歯ブラシへの適応率を基準にしてみると,バキューム,シリンジは第2段階でやや減少したが,第3~5段階では有意に高くなった.またエンジンは第3~第5段階に進むにつれて減少し,第4~第5段階におけるタービンと,第5段階の注射器に関して有意に低かった.
2.治療全体に対する適応率については,2歳児は,第3段階までは次第に適応を示す割合が高くなったが,強い刺激の器具にはまだ適応できず,反射的に拒否した.3~4歳児はタービン,注射器など強い刺激の器具の使用にも,多くの幼児が適応できたことを示し,歯科ぬりえを介しての情報提供の効果が現われたものと考えた.
以上のことから,幼児の歯科治療への適応は,いろいろな歯科器具への認識を背景にしていることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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