小児歯科学雑誌
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外傷幼若永久歯にApexogenesisおよびApexificationを施した1例
瀬尾 令士西田 郁子葛立 宏名越 恭子村田 真知子中島 龍市周 適宏齋藤 朗木村 光孝
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1995 年 33 巻 5 号 p. 1101-1108

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抄録

日常の小児歯科診療において,歯の外傷に遭遇することは少なくない.その中でも永久歯に関しては上顎中切歯が受傷することが多く,ほとんど歯根未完成歯である.今回著者らは,8歳女児で,右側上顎中切歯を打撲した症例に遭遇した.
1)最初打撲により右側上顎中切歯に露髄を伴う歯冠破折が生じた.歯根未完成歯であったため,Apexogenesisを施した.その際,切断歯髄面にハイドロキシアパタイトを主成分としたFinapec® APCを貼付し,予後は良好であった.
2)Apexogenesis施術後3か月目に再び打撲し,歯根破折を起こした.破折部位が歯頸部縁下で唇側歯肉に膿瘍を生じたため,歯冠片を除去した後,再度Apexogenesisを施した.同時にリンガルアーチと矯正用輪ゴムおよび結紮線を用いて矯正的挺出を行った.
3)歯肉縁上までの挺出および歯根形成の完成を待って矯正的挺出の完了とした.
4)歯根形成完成後,根尖閉鎖を誘導する目的でApexificationを施した.
5)根尖閉鎖確認後,ガッタパーチャ・ポイントで永久根充を行った.その後支台築造,暫間補綴物を装着した.
6)約2年9か月後,1の歯周疾患および ??__??__??_齲の蝕による冷温痛を認めたため,の歯髄処置および歯周外科手術を施した.同部の治癒をまって,永久補綴へと移行した.
以上のことから歯根の発育状況に沿って,ApexogenesisおよびApexification法を施した結果,良好な経過を示し,本法の極めて高い治療効果が示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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