1995 年 33 巻 5 号 p. 924-931
継続的かつ効率の良い計画治療や定期診査の妨げとなるキャンセルが,どのような要因で起こるかを知る目的で,1992年4月から1993年3月までの1年間に,小児歯科外来での予約診療患者について調査し,以下の結果を得た.
1.通院時間の短い者ほどキャンセル回数が多くなる傾向を示した.
2.低年齢児の場合,協力的な患者の方がキャンセル回数が多くなる傾向を示した.
3.前回来院時の処置内容をみると,治療中"5歳以下群"では,局麻下処置よりも無麻酔下処置の方がキャンセルが多くなる傾向にあった.
4.キャンセル理由では,疾病は“5歳以下群”の方が多く,“6歳~12歳”では無断および学校の都合が増加する傾向を示した.また,キャンセル回数との関係では,治療中では理由に大きな変化はないが,定期診査では保護者の都合が増える傾向にあった.
以上の結果から,キャンセルに関与すると思われる要因には,疾病や学校の都合など患児自身の体調や時間的余裕は勿論,通院時間,保護者の都合や治療の緊急性の認識といった保護者側の要因が大きいことが示唆された.