小児歯科学雑誌
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永久臼歯における咬合圧,咬合接触面積ならびに咬合力に関する研究
成人日本人と中国人との比較
野坂 久美子曹 越輝駿河 由利子佐藤 輝子夏 善福庄 欣宇何 双歌張 春鳳甘利 英一
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1995 年 33 巻 5 号 p. 963-974

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抄録

本研究の目的は,食文化の異なる中国と日本の成人における咀嚼効率の違いを知ることである.対象者は,日本,中国の成人男女,合計110名である.研究には,デンタルプレスケール30Hシリーズを用いた.そして,上下顎の永久臼歯の歯種別で,平均咬合圧,咬合接触面積,咬合力を求め,両国間で比較を行った結果,次のような結論を得た.
1)平均咬合圧は,日中,男女ともに,小臼歯の方が大臼歯よりも大きかった.また,上下顎ともに,中国人男子では,第一小臼歯は第二小臼歯よりも,日本人男子では,第一大臼歯は第二大臼歯よりも,それぞれ有意に大きかった.日中間の比較では,上下顎,男女ともに日本人の方が中国人よりも大きい傾向にあり,有意差を示したのは,男子では第一大臼歯,女子では第一,第二大臼歯であった.
2)咬合接触面積と咬合力は同じような傾向を示した.すなわち,小臼歯に比べて大臼歯の方が大きな値を示した.また,小臼歯間では第二小臼歯の方が第一小臼歯よりも大きかった.大臼歯間の比較では,上顎では第一大臼歯の方が,下顎では第二大臼歯の方が大きい傾向にあったが,日本人男子のみは,上下顎ともに第二大臼歯の方が大きかった.また,日中ともに男子の方が女子よりも大きい傾向にあった.日中間の比較では,上下顎,男女ともに,大臼歯で,中国人は日本人の約2倍の咬合接触面積ならびに咬合力を示し,これらの差は,成人になるほど明らかであった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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