小児歯科学雑誌
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乳歯歯冠修復処置に関する実態調査
-1984年度と1994年度の比較-
細矢 由美子柏原 陽子冨永 礼子西口 美由季福本 敏後藤 讓治
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1996 年 34 巻 1 号 p. 214-223

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抄録

1994年度に,長崎大学歯学部小児歯科診療室で乳歯歯冠修復処置を受けた患児374名に対して行われた乳歯歯冠修復処置1,466例について,応用状況を調査した。1984年度の調査と比較した結果,下記の結論を得た。
1.乳歯に対する歯冠修復応用状況は,1984年度は,コンポジットレジン充填の応用頻度(37.5%)が最も高く,次いで既製金属冠(28.8%),インレー(16.6%),アマルガム充填(11.3%)の順であった。一方,1994年度は,コンポジットレジン充填の応用頻度(60.3%)が最も高く,次いで,インレー(21.0%),既製金属冠(14.1%)の順であった。
2.乳臼歯部の隣接面を含む窩洞に対する応用頻度は,1984年度は,インレー(75.4%)が最も高く,次いでコンポジットレジン充填(14.3%),アマルガム充填(10.0%)の順であった。一方,1994年度は,インレー(51.0%)が最も高く,次いでコンポジットレジン充填(47.5%)の順であった。
3.コンポジットレジン充填は,両年度ともに乳前歯部ではC1とC2,乳臼歯部ではC1の症例に多用されていたが,1994年度では,乳前歯部のC3の症例と乳臼歯部のC2の症例にも多用されていた。
4.1984年度と比較し1994年度では,乳前歯部のみならず乳臼歯部でもコンポジットレジン充填の応用頻度が増加していた。また,1994年度には,アマルガム充填の使用は皆無であり,グラスアイオノマーセメント充填が新たに使用されていた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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