小児歯科学雑誌
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34 巻 , 1 号
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  • 1996 年 34 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本小児歯科学会は,小児の口腔の健康管理法の確立を目指し,さまざまな努力をしているが,今回は小児の歯の外傷の予防法および治療法の確立を目的として,その実態を調査した。調査は平成5年4月1日から平成6年3月31日までの1年間,全国28大学の小児歯科で行われ,1175人の小児の2008歯の外傷が調べられた。
    受傷時年齢は乳歯では0歳から10歳までに分布し,1歳から3歳が特に多かった。永久歯では4歳から17歳までが扱われ,特に7歳から9歳が多かった。男児は女児より多く,永久歯では男児が女児の2倍であった。
    受傷原因は,乳歯で転倒が多く,衝突,転落がそれに続く。1~2歳は転落が多く,3歳からは衝突が多くなる。永久歯でも転倒が多く,次いで衝突,転落であるが,乳歯より衝突の割合が増加し,打撲も多い。
    受傷部位は,乳歯・永久歯ともに上顎切歯部が多く,特に上顎の乳中切歯・永久中切歯が圧倒的に多かった。
    受傷様式は,乳歯では動揺・振盪が多く,陥入,挺出,転位の不完全脱臼と完全脱臼を含めた脱臼は約65%を占める。歯冠や歯根の破折も20%を越える。永久歯では,歯冠破折が圧倒的に多く,歯根破折と合わせて破折が約50%を占める。7歳までは脱臼の方が破折より多いが,8歳から破折の方が脱臼より多くなる。
    初診時の処置は,乳歯で動揺・振盪がそのまま経過観察されたものが多かった。整復固定や抜歯も約10%行われていた。少数ではあるが再植も試みられていた。永久歯では,歯冠破折の修復や歯内療法が多かった。完全脱臼の再植も乳歯より多く試みられていた。
    1年間にわたる小児の歯の外傷の実態調査で,外傷の予防法と処置法の確立が強く求められている。今回の調査に引き続いて予後の調査を行い,処置法についての検討を行う必要がある。
  • 植村 美登里, 進士 久明, 河野 美佐, 小笠原 榮希, 本川 渉, 内村 登
    1996 年 34 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,日本人小児に於いては不正咬合の発現が増加傾向にある。不正咬合の診断には頭部エックス線規格写真分析が,必須であると言っても過言ではないほど重要である。しかしながら,現在用いられている正常咬合を有する者の基準値は,昭和30年代に作成されたもので,小児の身体発育が変化して大きくなっていることを考えると,見直す時期ではないかと考えられる。
    本研究では,当科に診断資料として保存蓄積された頭部エックス線規格写真を用いて,乳歯列正常咬合の基準値を作成した。さらにその結果を,昭和30年代に作成された基準値と比較してみた。
    また,乳歯列に於いて,Kimの分析を応用することが可能か検討してみた。
    その結果,乳歯列正常咬合の基準値は,昭和30年代のものと比較して,Occlusal plane,L-1 to Mandibular,FH to SNなどの項目に有意差が認められた。
    また,その他の咬合の分析結果は,それぞれいくつかの項目で正常咬合の平均値との間で有意差を示した。また,Kimの分析は,乳歯列期の咬合の診断に有効であることが示唆された。
  • 森永 珠紀, 二木 昌人, 野沢 美夕起, 中田 稔
    1996 年 34 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    抜去ヒト小臼歯を用いて,永久歯咬合面非切削エナメル質のリン酸エッチング時間および脱灰効果とシーラントの接着性との関連性を調査検討した。15秒,30秒,60秒の3種類のエッチング時間を設定し,エッチング後のエナメル質表面形態の違いを走査電子顕微鏡を使用して観察した。その結果,エッチング時間が長くなる程より強い脱灰像が観察され,裂溝底周囲部よりも平滑部において,より明瞭な,エナメル小柱周囲が脱灰された像が多く観察された。
    また,エッチング時間がシーラントの接着性に与える影響を,サーマルサイクリングテストおよび色素浸透試験によって,辺縁封鎖性およびシーラント・エナメル質界面部のギャップ形成の面から調査した。その結果,15秒および30秒エッチング群は60秒エッチング群と比較して辺縁封鎖性が有意に優れていた。また,ギャップの発生は15秒エッチング群が60秒エッチング群に比べて少ない傾向が認められた。しかしながら,エッチング時間にかかわらず,辺縁封鎖が良好な場合でも裂溝内部とくに深部にギャップが観察される例が多く認められた。
    以上の結果から,エッチング時間を延長することでエナメル質表面の脱灰は進行するが,形態的な脱灰の強さとシーラントの接着性との間には単純な相関は認められなかった。即ち,シーラントの接着には至適な脱灰度が存在すると予測された。
  • 武田 康男, 竹辺 千恵美, 野中 歩, 平野 洋子, 堀内 信子
    1996 年 34 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1985年から北九州市立総合療育センターが中心となって行った北九州市を中心とする地域健診プロジェクトに関して,その詳細を本論文において紹介した。またこの健診システムに基づき,歯科衛生指導を行っている市内の障害児・者施設のうち,就学前の精神発達遅滞(MR)児を対象とする3通園施設(S1と略す)の304名を対象に初回健診時のアンケート調査より歯科受診歴の有無と受診先,歯科治療の可否,歯磨き指導の経験の有無,食後間食と食後飲料水の摂取状況について集計し,検討を行なったところ以下の結果を得た。
    1.S1に関して,入園前の在籍施設状況別にみた歯科受診歴では,センター在籍児でセンターの歯科を受診した者が90%近くを占めた。一方,保育園・幼稚園の通園児や在宅でどの施設にも通っていなかった児の場合,受診先としては開業医が最も多く,また歯科未受診児も50%ほどを占めていた。
    2.受診時の治療の可否についてセンター,大学病院受診群は,全員治療は可能であったが,開業医受診群は,治療が出来ずに放置された症例が10%近くあった。
    3.歯科未受診の理由の中で,治療を歯科医師から断わられた症例が約10%存在した。
    4.歯磨きに関しては,センター在籍児の96%近くが指導経験を有し,その他では50%しか指導の経験がなかった。
    5.食後間食と内容では,S1の33%に当たる症例が摂取しており,とくに未受診群の摂取間食の内容は高い齲蝕誘発能を有するものが多かった。
    6.食後飲料水摂取の有無と内容に関しては間食と同じ傾向を示した。摂取内容では,未受診群に齲蝕誘発能の高い飲料水を好んで摂取する傾向が認められた。
  • 大森 郁朗, 伊平 弥生, 守安 克也, 中島 由美子, 高見澤 さち代
    1996 年 34 巻 1 号 p. 47-59
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究はフッ素徐放性レジンコート材を,乳臼歯または幼若永久歯歯冠隣接面の健全歯面あるいは初期齲蝕(C0ないしC1)罹患歯面に塗布することによって,これら隣接面への齲蝕の侵襲ないし,齲蝕進行を抑制する臨床手技を確立し,その隣接面保護効果を従来からの齲蝕抑制法である2%NaFジェル塗布のそれと比較し,検討を加えることを目的とした。
    視診,触診,および咬翼エックス線写真診査から適応症例と診断した乳臼歯隣接面205歯面と第一大臼歯21歯面にフッ素徐放性レジンコート材を塗布し,2年経過後の齲蝕抑制状態を診査した。一方,定期検診時に適応症例と診断した乳臼歯177歯に対して2%NaFジェル塗布を行い,2年経過後の隣接面保護状態を診査したものを相対的対照例とした。
    フッ素徐放性レジンコート材を塗布することによる第一乳臼歯遠心面保護率は71.8%,第二乳臼歯近心面保護率は72.5%,そして第一大臼歯近心面保護率は100%であった。一方,2%NaFジェルを塗布した乳臼歯隣接面保護率は62.1%であった。これらの回顧的観察結果から,フッ素徐放性レジンコート材の隣接面保護率は2%NaFジェルのそれと比較して有意に齲蝕抑制効果が高いことが示された(P<0.05)。
    これらの結果は,本臨床手技が乳臼歯または幼若永久歯の隣接面,単独面(直達し得る隣接面)の齲蝕予防ならびに進行抑制手段として,臨床的に有効であることを示すものであり,本法の臨床的有用性を示すものであった。
  • 福田 理, 栁瀬 博, 田中 泰司, 河合 利方, 中野 崇, 黒須 一夫
    1996 年 34 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科治療の全経過を通じて協力的であった3~8歳の健常な小児30名を園児(15名)と児童(15名)に分け,尿中カテコールアミン(AD:アドレナリン,NA:ノルアドレナリン,DA:ドーパミン)の治療前値に対する術後値の変化の割合(変化率)を年齢群別,性別に比較検討し,以下の結果を得た。
    年齢群間の変化率の比較では,全ての指標において園児が高い変化率を示し,とくにAD,DAでは統計的に有意の差が認められた。男女間の変化率の比較では,園児は,全ての指標において,男児が女児に比して統計的に有意に高い変化率を示し,児童では,ADにおいて,男児が女児に比して統計的に有意に高い変化率を示していた。ADおよびDAの変化率は大きい順に園児の男児>園児の女児>児童の男児>児童の女児の順となっていた。
    以上の結果より,小児の歯科治療時の情動変化には年齢要因が性的要因に比べ大きく関与しているが,性的要因も無視出来ない要因の一つであり,何れの年齢群においても男児が女児に比して大きな情動変化を示していることが明らかとなった。
  • 三戸 應則, 嘉藤 幹夫
    1996 年 34 巻 1 号 p. 66-77
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児期によく発現する上顎乳中切歯の外傷について,乳歯根の吸収程度の相違により乳中切歯,歯周組織および後継永久歯がどのように影響を受けるかについて,有限要素法を用いて外傷時の乳前歯,歯周組織および後継永久歯歯胚の変位および応力の発現変化を解析し,外傷の損傷様式を探求する目的で研究を行った結果,
    1.外傷による外力の唇側荷重は,歯および歯槽骨を口蓋側に変位させ,口蓋側荷重は,歯および歯槽骨を唇側に変位させ,切端荷重は,歯および歯槽骨を陥入側に変位させた。
    2.外傷による外力の唇側,口蓋側および切端荷重は,歯根吸収が強くなるほど,歯,歯槽骨および永久歯歯胚の変位を強くさせた。
    3.外傷による外力の唇側,口蓋側および切端荷重は,歯根吸収が強くなるほど,歯槽骨の応力を高くさせるが,歯および永久歯歯胚の応力には変化がなかった。
  • 香西 克之, 桑原 さつき, 中山 隆介, 長坂 信夫
    1996 年 34 巻 1 号 p. 78-90
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    広島市内の市街および郊外の幼稚園,保育園の計4園の園児を対象に,食習慣および歯口清掃習慣について調査し,回収した総計315名の園児についてその実態を分析し以下の結果を得た。
    1)食品の嗜好は,全体的にみると菓子類の63.2%,果実類の64.1%に比べ,野菜類が40.5%と少なかった。また,幼稚園児と保育園児とでは,菓子類と野菜類に嗜好の違いが認められた。さらに,女児は魚介類,果実類を,年少児は穀物類をよく食べる割合が有意に多かった。間食に関しては,おやつの時間を決めている割合が全体の81.2%を占めたが,齲蝕あり群では決めていない割合が比較的多かった。間食の種類についても品目や対象者によって違いがみられた。
    2)歯口清掃については,齲蝕あり群に昼食後あるいは間食後の歯みがきが有意に少なかった。仕上げみがきは,毎日している割合が全体で45.3%であり,低年齢ほど,また出生順位が小さいほど実施率が高かった。仕上げみがきの場所は,居間,洗面所が多く,続いて寝室,風呂の順であった。また,デンタルフロスや歯垢染色液の使用は,使っていない割合がそれぞれ80.6%,91.4%と非常に多かった。
  • 広瀬 弥奈, 浜谷 英志, 松本 大輔, 丹下 貴司, 西 貴宏, 時安 喜彦, 河野 英司, 五十嵐 清治, 中垣 晴男
    1996 年 34 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯における歯面部位別のフッ素濃度分布と,性差,加齢的変化を調べるために,5歳児および6歳児の交換期で抜去された下顎乳中切歯を対象に,エナメル質表層のフッ素濃度を測定し,以下の結論を得た。
    1)5歳児,6歳児共に,唇側面と舌側面における部位の差は,いずれの深さにおいても男児,女児共に統計学的有意差が認められなかった。
    2)性差は,5歳児では,唇,舌側面共にいずれの深さにおいても統計学的有意差が認められなかった。一方,6歳児では,唇側面では,統計学的有意差は認められなかったが,舌側面では,深さ10.0~30.0μmにおいて,男児の方が女児よりもフッ素濃度が有意に高かった。
    3)5歳児と6歳児の比較では,女児の唇側面における深さ1.0μmでの結果を除き,唇,舌側面共に6歳児の方がフッ素濃度が有意に高かった。
  • 関口 浩, 町田 幸雄, 尾股 定夫
    1996 年 34 巻 1 号 p. 99-109
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日常頻繁に摂取する食品171品種の硬さについて,新測定法として硬さ測定用触覚センサを採用して調査した結果,以下の結論を得た。
    1.硬さ測定値は0Hzから3,868Hzまでと広範囲にわたっていた。この測定値を基に0Hzから4,000Hzを等分し,硬さを8段階に区分した。最低値を示した食品は茶碗蒸,最高値を示した食品はキャラメルであった。
    2.全食品の硬さの分布状況をみると,90%が硬さ順位1から4の間にあり,軟らかい方に集中していた。
    3.各食品群別に硬さの分布状況をみると,穀類,肉類,調理加工食品類,野菜類は硬さ順位4に多くの食品が分布していた。これらに比べて,いも類,種実・豆類,果物類,卵・乳類および魚介類は,硬さ順位1から2の間に分布する食品が多く,軟らかい傾向が認められた。菓子類は他の食品群に比べて,分布範囲が広く,硬さ順位1から8の間に分布していた。
    4.硬さ順位ごとに代表的食品を挙げると,1:プリン,豆腐,2:肉団子,大根(煮),3:うどん,ウィンナーソーセージ,4:ハンバーグ,食パン,5:せんべい,するめ,6:チョコレート,あめ玉,7:無し,8:キャラメル,キャンデーであった。
    5.硬さ測定用触覚センサは幅広い測定範囲と高い感度を有しているため,種々な食品の硬さの測定が可能であり,しかも,短時間で判定できるため,多くの食品について測定することが可能であった。
  • 園部 恭子
    1996 年 34 巻 1 号 p. 110-128
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    極小未熟児および超未熟児の口腔の機能的な発達を調査する目的で,歯年齢IIA期の極小・超未熟児10名,IIIA期の極小・超未熟児6名を対象に,咬合力ならびに咀嚼能力の測定を行った。さらに歯および歯列弓形態など形態的なものとの関連性についての検討を行った。
    1)未熟児の咬合力は,IIA期は男児12.13kg,女児11.83kgで,IIIA期は男児19.00kg,女児23.83kgであり,健常児より低い傾向であった。
    2)咬合力と暦年齢との相関をみると,男児r=0.912,女児r=0.787で有意な正の相関がみられた。
    3)未熟児の咀嚼能力は,IIA期は男児0.059Abs,女児0.050Absで,IIIA期は男児0.112Abs,女児0.099Absであり,健常児より低い傾向であった。
    4)咀嚼能力と暦年齢との相関をみると,男児r=0.823,女児r=0.898で,男女ともに有意な正の相関が認められた。
    5)咬合力と咀嚼能力との相関では,男児r=0.818,女児r=0.932で,有意な正の相関が認められた。
    6)未熟児乳歯の歯冠近遠心幅径は,男女ともに多くの歯種で小さな値を示した。また,歯列弓形態は,幅径が小さく,長径の大きいU字型歯列弓を呈していた。
    8)未熟児の歯冠近遠心幅径および歯列弓形態と咬合力および咀嚼能力との間には,明らかな相関関係はみられなかった。
  • 川島 成人, 土肥 順尚, 恵木 健二, 金沢 興燮, 坂田 貴彦, 中島 一郎, 赤坂 守人, 新井 嘉則, 篠田 宏司
    1996 年 34 巻 1 号 p. 129-136
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    舌中央部と舌後方部における断層域の異なる2つの舌運動時間の観測を比較することを目的として,観測装置は規格撮影のための頭部固定装置による超音波断層装置とエックス線テレビ装置および圧力センサーによる同時観測システムを用いた。検討項目は,舌中央部および舌後方部観測の際における再現性の比較および各機器間の舌運動観測における事象時間差について行い,さらに超音波断層装置による嚥下時の舌運動観測を行った。
    その結果以下の結論を得た。
    1.超音波断層装置の舌運動時間における再現性は,エックス線テレビ装置の再現性と舌中央部および後方部とも観測部位が異なっていても同様であった。
    2.超音波断層装置とエックス線テレビ装置の事象時間差は,舌中央部の口蓋接触,口蓋離脱の被験者および週に認められた。また舌後方部に差が認められなかった。
    超音波断層装置と圧力センサーの事象時間差は,舌中央部の口蓋接触では週に,口蓋離脱では被験者および週に差が認められた。また,舌後方部の口蓋接触では被験者に差が認められた。
    3.舌運動開始から口蓋接触までの時間では,被験者に有意差が認められた。また,舌運動開始から運動終了までの時間では,断層域に差が認められた。
  • 重田 浩樹, 森主 宜延, 奥 猛志, 小椋 正
    1996 年 34 巻 1 号 p. 137-147
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は顎関節症の臨床診断におけるサーモグラフィーの有効性を検討する一連の研究の第一段階として測定方法の妥当性と評価項目の再現性について確認することであった。健康な男女各5名を対象として,日を改めて2回の撮影を行い,その結果,サーモグラフィーの測定方法の妥当性と評価項目の再現性について以下の事柄を得ることができた。
    1)本研究の測定方法の妥当性と再現性が確認され,本装置の温度分解能が0.05℃ であることから小数点以下1桁までは信頼できる値であることが示された。
    2)安静時の評価方法として皮膚表面温度の左右差が絶対温度と比較し,再現性に優れていることが示された。
    3)咀嚼運動負荷による皮膚表面の温度変化の評価方法としてM部の最大温度変化量,最大温度変化量到達時期,左右側の最大温度変化量到達時期の一致性の再現性が認められ有効な評価項目として示唆された。
  • 後藤 讓治, 張 野, 一瀬 暢宏, 山邊 陽出代
    1996 年 34 巻 1 号 p. 148-153
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    噴射切削装置による窩洞形成は,加圧,振動,騒音,発熱,疹痛等が少なく,小児歯科診療に適した装置と考えられるが,他方噴射切削による窩洞形成は窩洞周囲の健康歯質にも噴射切削の影響が及ぶ欠点が指摘されている。そこで,窩洞周囲の健康歯質保護の目的で,プロテクト・バニッシュを塗布し,噴射切削により窩洞を形成し,SEMによる観察を行った。その結果プロテクト・バニッシュの塗布は,噴射切削時に窩洞周囲の健康歯質の保護に効果を有することが判明した。
    1.プロテクト・バニッシュの塗布は,噴射切削時の窩洞周囲の健康歯質の保護に有効であった。
    2.プロテクト・バニッシュは,1層塗布より2層ないし3層塗布の方が歯質の保護により有効であった。
    3.プロテクト・バニッシュ塗布部も,噴射切削による窩洞形成は可能であった。
    4.通常,噴射切削により形成された窩洞の窩縁部は丸味を帯びるが,プロテクト・バニッシュ塗布部の窩縁部はほぼ直角になる所見が得られた。
  • 朝田 芳信, 鈴木 康弘, 葛城 美穂子, 前田 隆秀
    1996 年 34 巻 1 号 p. 154-160
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近交系マウスの下顎第二臼歯に主として出現する樋状根成因に対する形態学的研究として,退化という現象面から,樋状根高出現率であるC57BRおよびC57Lマウスの下顎第二臼歯が短根傾向を示すのか否かを,樋状根出現率が異なる5系統を合わせた7系統の近交系マウスの樋状根ならびに樋状を示さない歯根の頬側ならびに舌側歯根長を計測し,検討した。さらに,舌側歯根長を基準に,樋状根癒合形態を数値化し,型分けすることを試みたところ以下の結果を得た。
    1)樋状根癒合形態を3つに型分けしたところ(I,IIならびにIII型),樋状根高出現率マウスであるC57BRおよびC57Lは,III型の割合が高く,樋状根出現が全く見られないAおよびC57BLは,I型のみ出現していた。
    2)頬側および舌側歯根長において,すべての系統で雌雄差は認められなかった。
    3)頬側および舌側歯根長において,明らかな系統差が認められ,C57BR,C57LおよびAKRは,他の4系統に比べ有意に長根であり(p<0.05),特にC57BRおよびC57Lの2系統は,短根傾向を示さなかった。
    4)頬側ならびに舌側歯根長の変動係数が低値を示したことから,根長に対する環境要因の影響は,小さいことが示唆された。
  • 齋藤 亮
    1996 年 34 巻 1 号 p. 161-173
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    アンプリチュードヒストグラムの原理を応用した下顎安静位決定法を考案し,Hellmanの歯年齢IIA期の正常咬合を有する小児28名における下顎安静位の決定を試みた。そして,適切な下顎安静位誘導法の探索とそれによって得られる安静位空隙量を測定し,その誘導法の確実性について評価した。また,同時期の前歯部反対咬合症例10名の下顎安静位も調査し,咬合誘導の機能分析法に利用可能かどうか検討した。
    1.Hellmanの歯年齢IIA期の小児の下顎安静位決定に,アンプリチュードヒストグラムの原理を用いる方法が有効であった。
    2.術者の指示に従うことの困難な小児でも,アンプリチュードヒストグラムを用いることで下顎安静位を決定することができ,誘導法としては任意の下顎安静位誘導法しか有効でなかった。
    3.正常咬合症例の安静位空隙量の平均値は各年齢で嚥下後安静位が最も小さく,開口後安静位が最も大きくなる傾向がみられた。また,増齢に伴い安静位空隙量の平均値および分散は小さくなる傾向にあった。
    4.適切な下顎安静位誘導法は年齢ごとに異なっていた。3歳では任意の下顎安静位,4歳では嚥下後安静位と任意の下顎安静位,そして5歳では嚥下後安静位であった。
    5.骨格型反対咬合症例の安静位空隙量は正常咬合症例の安静位空隙量より有意に小さかった。一方,機能型および混合型反対咬合症例の安静位空隙量は大きい傾向が示唆された。
  • 能地 康和, 山口 武人, 菅居 香, 内山 正, 菊池 元宏, 赤坂 守人
    1996 年 34 巻 1 号 p. 174-181
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    当教室では,過去に小児にも応用できる下顎運動6自由度測定装置を開発し報告してきた。そこで,より小児に対し臨床応用が可能になるように更なる軽量化と,上下顎運動を測定できる新システムを開発し,その特徴と再現性について検討したところ,以下の結論を得た。
    1.従来の磁気を利用した下顎運動6自由度測定装置を改良し,磁気を使用した上下顎運動測定装置が製作された。
    2.上下の動揺に対し発生する誤差は上下1.5cmの範囲では平均0.15mm,上下2.5cmの範囲では平均0.29mmであった。
    3.左右の動揺に対し発生する誤差は,左右1.5cmの範囲では平均0.14mm,左右2.5cmの範囲では平均028mmであった。
    4.生体において比較的再現性があるとされる最大開口量の個人内最大変動差の平均も4.1mmであり,基準平面決定法も比較的再現性が得られていたものと思われる。
    5.本装置は測定における再現性も有しており,測定値の他人との比較や測定値の経年的な比較検討も可能であると思われる。
  • 山田 嘉重
    1996 年 34 巻 1 号 p. 182-192
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Bisphosphonateの全身投与により惹起されるラット切歯エナメル質形成不全の際のアメロジェニン蛋白遺伝子発現の状態を調べる目的で以下の実験を行った。体重約150-160gの雄性Wistar系ラットの背部皮下に1日1回,7日間1-hydroxyethylidene-1,1-bisphosphonate(HEBP)または生理食塩液を投与した。ラットは最終投与24時間後に全身麻酔下にて屠殺後,上顎切歯およびその周囲組織を採取し,組織学的検索およびエナメル芽細胞内のアメロジェニン蛋白遺伝子の発現についてIn situ hybridization法により検索を行った。組織学的観察によると,HEBP投与ラットのエナメル基質形成期に相当する切歯表層に島状のエナメル質とエナメル質形成不全部が交互に出現する像が観察された。アメロジェニンRNAプローブを用いたIn situhybridization法の結果では,基質形成期エナメル芽細胞のアメロジェニン遺伝子の発現はエナメル質形成部,形成不全部に関わらず観察され,さらにその発現の強さは生理食塩液投与ラットの場合とほぼ同程度であった。これらの結果からHEBPを連続投与することにより惹起されるエナメル質形成不全は,エナメル基質形成の障害,特にアメロジェニン遺伝子発現以降の過程に障害が生じて発現することが示唆された。
  • 荻野 由美, 柳原 正恵, 梅澤 理絵子, 鎌田 未幾, 土岐 裕子, 佐藤 昌史, 山下 登, 井上 美津子, 佐々 竜二
    1996 年 34 巻 1 号 p. 193-200
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和大学歯科病院小児歯科では,開設以来,健常児とともに心身障害児に対しても口腔の健康管理を主体に歯科治療を行ってきた。
    今回,平成元年から6年までの5年間に来院した心身障害児について,その実態調査を行った。
    来院数は1,015名で,総来院患児数の24.6%であった。障害別の内訳では,唇顎口蓋裂児が596名で最も多く,次いで運動・知能障害児が251名,内科的疾患児が106名,アレルギー・呼吸器疾患児が62名であった。
    初診時の年齢は0歳から28歳までで,1歳児と2歳児が大半を占めていた。
    来院動機については,齲蝕が23.4%,歯列・咬合の異常が18.7%,予防・検診が27.3%,他科・他院からの紹介が26.6%であり,以前の報告と比較すると齲蝕が主訴の者が減少していた。
    当科診療システムにのった者は763名で,その診療形態をみると,診査・指導のみの者が70.4%,外来治療が23.6%,全身麻酔下治療が6.0%であり,全身麻酔下治療の適応は年々減少していた。
    修復処置内容は,乳歯,永久歯ともレジン充填が多く,インレー修復は減少し,アマルガム充填はまったくみられなかった。
    定期診査の受診率は,いずれの障害児でも80~90%とかなり高率であった。
  • 松原 まなみ, 中島 謙二, 仲岡 佳彦, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1996 年 34 巻 1 号 p. 201-207
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    吸啜時の顎および舌による乳首の圧搾動作の有無と吸引圧の違いによる各種人工乳首使用時の哺乳量の差を明らかにする目的で吸啜ロボットによるシミュレーション実験を行った。その結果,以下の結論を得た。
    1)吸引動作による吸引量は乳首によってかなり差があり,さらに圧搾動作が加わると特徴的な差異が認められた。
    2)ビーンスターク®は吸引動作のみでは最も吸引量が少なかったが,圧搾動作が加わると吸引量は激増して最高値を示した。他の乳首は圧搾動作の有無による差はほとんどなかった。
    3)吸引動作のみ,圧搾動作を伴う場合ともに吸引量の多かったのはビジョン®Mサイズ,ヌーク®S・Mサイズ,チュチュ®,ビジョン®Sサイズの順であった。
    4)丸穴乳首は自然流出量が多く,クロスカット乳首では自然流出は認められなかった。
  • 山賀 まり子, 堀 亘孝, 小出 武, 大東 道治
    1996 年 34 巻 1 号 p. 208-213
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    タンニン・フッ化物合剤(HY剤)による歯質強化の機構を明らかにするために,HY剤とその成分の歯質へ及ぼす影響について一連の研究をしている。今回は,I型コラーゲンに及ぼす影響を調べた。
    実験材料としては,HY剤,フッ化亜鉛,フッ化ストロンチウムを飽和させた溶液およびHY剤溶液のタンニン酸濃度とほぼ等しいタンニン酸溶液ならびにHY剤溶液のフッ素濃度とほぼ等しいフッ化ナトリウム溶液,対照としてリン酸緩衝塩類溶液を用いた。これらの各溶液をI型コラーゲンに作用させ,その重量変化,水および酢酸による膨潤をこれらの成分が抑制する効果ならびに抗酵素性を調べた。
    その結果,HY剤およびタンニン酸はコラーゲンの水および酢酸による膨潤を著しく抑制するとともに抗酵素性も著しく向上させた。フッ化亜鉛にも若干その傾向が認められた。
  • 細矢 由美子, 柏原 陽子, 冨永 礼子, 西口 美由季, 福本 敏, 後藤 讓治
    1996 年 34 巻 1 号 p. 214-223
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1994年度に,長崎大学歯学部小児歯科診療室で乳歯歯冠修復処置を受けた患児374名に対して行われた乳歯歯冠修復処置1,466例について,応用状況を調査した。1984年度の調査と比較した結果,下記の結論を得た。
    1.乳歯に対する歯冠修復応用状況は,1984年度は,コンポジットレジン充填の応用頻度(37.5%)が最も高く,次いで既製金属冠(28.8%),インレー(16.6%),アマルガム充填(11.3%)の順であった。一方,1994年度は,コンポジットレジン充填の応用頻度(60.3%)が最も高く,次いで,インレー(21.0%),既製金属冠(14.1%)の順であった。
    2.乳臼歯部の隣接面を含む窩洞に対する応用頻度は,1984年度は,インレー(75.4%)が最も高く,次いでコンポジットレジン充填(14.3%),アマルガム充填(10.0%)の順であった。一方,1994年度は,インレー(51.0%)が最も高く,次いでコンポジットレジン充填(47.5%)の順であった。
    3.コンポジットレジン充填は,両年度ともに乳前歯部ではC1とC2,乳臼歯部ではC1の症例に多用されていたが,1994年度では,乳前歯部のC3の症例と乳臼歯部のC2の症例にも多用されていた。
    4.1984年度と比較し1994年度では,乳前歯部のみならず乳臼歯部でもコンポジットレジン充填の応用頻度が増加していた。また,1994年度には,アマルガム充填の使用は皆無であり,グラスアイオノマーセメント充填が新たに使用されていた。
  • 塚田 久美子, 高井 経之, 小笠原 正, 甲田 寿美子, 渡辺 達夫, 笠原 浩
    1996 年 34 巻 1 号 p. 224-230
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    患者は,12歳男児で,小児科医からの投薬で3回,歯科医からの投薬で1回,計4回のアナフィラキシー様ショックにより緊急入院を繰り返していた。5歳時に,多剤薬物アレルギーと診断され,以後12歳まで歯科受診をしておらず,多数歯重症齲蝕の状態であった。
    初診時における現在歯は永久歯25歯と乳歯4歯で,そのうちの21歯が進行した齲蝕歯であった。
    初診時は,応急的にユージノール仮封を行うとともに,アレルギー専門医への対診と以前に緊急入院した病院への照会により,情報収集に努めた。また,関連薬剤13種類について,LSTを行った。局所麻酔薬は,プリックテスト,皮内テストともに陰性であったプリロカインを使用した。術前のアレルギーテスト時,歯科治療中と治療終了後は,患者のバイタルサインをモニターし,異常事態に対応できる準備を整えておいた。治療時は,アレルギー反応がみられた場合に原因薬物を特定できるように,使用薬物を限定し,効率性より安全性を重視した。薬物投与が必要と予想された大臼歯の感染根管治療に際しては,4日間入院させた。
    以上の対応により,21回の治療でなんら合併症をみることなく,すべての永久歯を保存することができた。
  • 山本 誠二, 壺内 智郎, 藤本 誠司, 下野 勉
    1996 年 34 巻 1 号 p. 231-237
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回我々は,3歳10か月の男児で左側下顎第二乳臼歯が完全に埋伏した症例に遭遇し,開窓およびマグネットによる牽引処置を施したのでその臨床経過について報告する。1)初診時口腔内検診より,左側下顎第二乳臼歯の未萌出およびそれに伴う左側上顎第二乳臼歯の挺出が認められた。また,同部のエックス線所見より左側下顎第二乳臼歯が完全埋伏しており,その歯冠部には境界明瞭な単房性のエックス線透過像が認められた。また,根尖は近遠心根ともに彎曲が認められたが,癒着している像は認められなかった。尚,初診時には後続永久歯である左側下顎第二小臼歯の歯胚は認められなかった。2)初診から6か月経過観察を行った後,埋伏歯の開窓処置を施行した。開窓後3か月間,経過観察を行い,マグネットを誘導矯正力とした牽引装置を用いて誘導を行った。3)牽引装置装着2か月後に,埋伏歯咬合面が口腔内に露出してきた。4)現在,開窓後2年5か月が経過し対合歯との咬合が得られるまで萌出しているげまた,エックス線所見より後続永久歯である左側下顎第二小臼歯の歯胚と思われる透過像が認められる。
  • 井下田 繁子, 松原 清, 武井 謙司, 前田 隆秀
    1996 年 34 巻 1 号 p. 238-244
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎右側第一大臼歯の動揺,上顎右側第一小臼歯と第二小臼歯の早期萌出による歯の動揺ならびに同部の歯肉病変を主訴に7歳11か月の女児が来院し,上顎右側歯肉部の腫瘤と同部歯槽骨の境界不明瞭なエックス線透過像ならびに頭部と臍部の皮疹からLangerhas cell histiocytosisを疑い,病理診断したところ好酸球肉芽腫と確定診断された。処置として,従来の方法と異なり,患部の歯を抜去ならびに歯肉腫瘤の掻爬はせずに病変部の一部である上顎洞内の肉芽腫瘤の掻爬のみに留め,術後は化学療法(Vincristine, Predonin, 6-MP)にて管理したところ,歯肉腫瘤は消失し,局所歯槽骨の新生が認められ,当該永久歯の保存ができた。
    現在,全身状態は良好で口腔粘膜にも異常所見は全くみられず,早期脱落した上顎右側第一小臼歯部への咬合誘導処置を行っているが,歯槽骨の状態を含め経過は良好である。
  • 萩原 智子, 嘉藤 幹夫, 木村 圭子, 大東 道治, 四井 資隆, 菊池 優子
    1996 年 34 巻 1 号 p. 245-252
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列に発現する反対咬合は骨格型と機能型に分けられるが,大部分はこれらの混合型あるいは移行型に分類される。いずれも早期治療による効果が望まれるところであるが,これらの動的咬合誘導の手法の1つとしてチンキャップを用いることがある。
    今回著者らはチンキャップを使用した治療経過に伴う顎関節部への影響について調査した。
    1.観察対象はHellman Dental Age II A期の反対咬合を有する小児7名(左右14関節)とし,6か月間治療観察を行った。
    2.臨床所見:観察期間中に上下顎前歯の被蓋関係は改善し,開口障害や関節部疼痛の発現頻度も低かった。しかし,開口経路の偏位や関節雑音がやや高い頻度で発現した。
    3.エックス線所見:下顎頭上面または後面に骨変化を示す傾向があった。特に,下顎頭上面骨皮質直下の骨硬化所見を示すものが多かった。また,下顎頭位は下顎窩に対して後方位を示し,後部関節隙の狭小化を認めた。
    今後,乳歯列反対咬合の治療経過に伴う顎関節部の状態について定期的に観察していく必要があると思われる。
  • 音山 考子, 岩田 典子, 新門 正広, 萩原 智子, 人見 さよ子, 嘉藤 幹夫, 木村 圭子, 大東 道治, 菊池 優子, 四井 資隆, ...
    1996 年 34 巻 1 号 p. 253-258
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において,永久歯萌出遅延を伴う骨系統疾患に遭遇することがある。多くの症例は歯科を訪れるまでに診断名が決定されているが,診断名が確定しておらずに来院した場合,決定に時間がかかる場合がある。
    今回,17歳7か月,女児の症例において次のような所見より最終的に診断した。
    1)多数の永久歯埋伏や萌出遅延,乳歯の晩期残存,下顎頭の低形成,下顎切痕の浅窩および舌骨の発育不全が認められた。
    2)頭蓋骨の癒合不全および頭蓋冠や頭蓋底の広汎な硬化と肥厚が認められた。
    3)鎖骨の瀰漫性の骨硬化と幅の肥厚が認められた。以上の所見より頭蓋・骨幹端異形成症を最終的診断名と考えた。
  • 小島 寛, 三浦 真理, 八若 保孝, 小口 春久
    1996 年 34 巻 1 号 p. 259-268
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Moorreesらの分類による歯根形成度が,R3/4,R1/2,R1/4とそれぞれ異なる時期に開窓・牽引処置を行った,上顎中切歯の逆生埋伏3症例について,処置終了後の歯根の発育および湾曲状態を臨床的に検討した。R3/4の時期に開窓・牽引を行った症例では,処置開始時にすでに歯根の湾曲が認められ,処置中も歯根は湾曲したまま成長したため,牽引終了後に根尖相当部の粘膜に膨隆を触れた。R1/2の時期に開窓・牽引を行った症例では,開窓・牽引後も歯根の成長は継続し,歯根長は反対側同名歯とほぼ同じであったが,歯根中央部で軽度の湾曲を示した。R1/4の時期に開窓・牽引を行った症例では,開窓・牽引後も歯根の成長は継続し,歯根長は反対側同名歯とほぼ同じであり,歯根の湾曲もほとんど認められなかった。これらのことは,歯根未完成の上顎中切歯の逆生埋伏に対する開窓・牽引処置期間中に,歯髄および歯根形成組織の活性が臨床的にみて阻害されていないことを示している。以上より,上顎中切歯の逆生埋伏症例が早期に発見されたぱあい,歯根の湾曲を示しはじめる時期,あるいはそれ以前に開窓・牽引を行えば,歯根の湾曲を抑制しながら,かつ,歯根形成を障害することなく萌出誘導することが可能であることが示された。
  • 橋本 智子, 船越 禧征, 木村 圭子, 大東 美穂, 大東 道治
    1996 年 34 巻 1 号 p. 269-274
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Kabuki make-up症候群は1981年黒木らと新川らにより報告された奇形症候群である。本症候群は歌舞伎俳優のような下眼瞼外反を伴う特異な顔貌,骨格異常,皮膚紋理異常,低身長,精神発達遅延などを特徴とする新しい先天奇形症候群である。本症候群の歯科的所見として,これまで口蓋の異常(口蓋裂または高口蓋),歯の形態異常(栓状歯,矮小歯),構造異常(エナメル質減形成),数の異常ならびに歯列不正などが報告されている。今回,9歳4か月,男児のKabuki make-up症候群の1例を経験し,次の所見をえた。
    1.特異な顔貌,骨格異常,皮膚紋理異常,精神発達遅延など種々の異常がみられた。
    2.歯科的所見として奇形歯,矮小歯,エナメル質減形成,先天性欠如歯,上唇小帯異常ならびに高口蓋がみられた。また前歯部に開咬および左側臼歯部に交叉咬合がみられた。
    3.各歯の歯冠近遠心幅径は,ほとんどの歯が標準値より小さい値を示した。歯列弓の長径ならびに幅径はいずれも計測歯が萌出途上であるため測定できなかった。
    4.頭部エックス線規格写真の分析結果,上顎骨の劣成長がみられた。
    5.患児は歯科治療に対して協力性がえられないことから,齲蝕の早期発見,早期治療に努めると共に歯口清掃ならびに齲蝕抑制処置を積極的に行うことが必要である。
  • 甲原 玄秋, 佐藤 研一
    1996 年 34 巻 1 号 p. 275-280
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    出血性素因患者の歯肉出血,抜歯の際スプリントを使用し,その止血効果を検討した。対象は1988年10月~1995年8月の間に千葉県こども病院歯科でスプリントによる圧迫止血処置を行った延べ25名の患児である。
    症例を以下の3群に分け検討した。I群:歯肉出血を示した7例,II群:血液疾患患児の抜歯11例,III群:抗凝固剤服用中の患児の抜歯7例である。
    結果;I群の血小板数が0.8×104/μlに低下した特発性血小板減少性紫斑病患者は,スプリントにより激しい歯肉出血を制御できた。また血小板数が1-2×104/μlに低下した白血病,再生不良性貧血患者の歯肉出血もスプリントにより血小板を補充することなく制御しえた。
    II群の血小板無力症患者ではスプリントを用い血小板を補充することなく抜歯できた。さらに血小板数が×104/μlに低下した再生不良性貧血患者においても血小板を補充することなく抜歯できた例があった。一方,重度血友病A患者においてはVIII因子は抜歯に際し必要であった。
    III群の抗凝固療法を受けている患者ではそれを服用のまま抜歯し,スプリントにより抜歯後止血を生じなかった。
    以上の結果から,スプリントはその適切な応用により欠乏凝固因子の補充の回避,もしくは軽減がはかれ,また抗凝固剤を継続しての抜歯が可能と思われる。
  • 盧 兆民, 廣瀬 永康, 中島 謙二, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1996 年 34 巻 1 号 p. 281-285
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎右側第一大臼歯の萌出遅延を主訴として,本学附属病院小児歯科に来院した患児について,臨床的および病理組織学的に検討をくわえた。
    患児は初診時9歳8か月の女児で,口腔内所見では,下顎右側第一大臼歯の萌出遅延を認め,同部の歯肉に発赤,腫脹,膨隆などを認めなかった。エックス線写真所見では,当該歯の歯冠周囲に境界明瞭な透過像がみられ,根尖は下顎骨下縁の皮質骨部に至っていた。埋伏歯冠上部より摘出された組織は,病理組織学的には,歯原性線維腫と診断され,この診断にもとずいて当該歯の開窓,牽引を行った。当該歯の歯冠は牽引開始から6か月後には,咬合平面まで達した。現在は,上顎第一大臼歯と良好な咬合関係を保っている。
  • 岩坪 れい子, 保坂 栄勇, 村山 高章, 長谷川 孝, 後藤 和久
    1996 年 34 巻 1 号 p. 286-291
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,1982年8月に分娩時における下顎骨正中部開放性骨体骨折の一例を経験し,また術後13年間の経過観察を行った。患児は予定日より四週間早く骨盤位で自然分娩にて出生したが,分娩時にファイト・スメリー法をうけ,下顎に裂傷をきたした。患児の下顎正中部の歯肉に裂傷があり,下顎骨が露出し,開放性骨折を認めた。生後2日目にホリゾン静脈鎮静下にて下顎骨体を徒手的に整復し,アクリリックレジン床副子を用いて固定をはかり,綱線にて下顎骨体の2か所において囲繞結紮を行い,14日目に副子を除去した。術後2日目より経管栄養をおこない,10日目より人工栄養に変更したが,哺乳は良好であった。
    術後1年3か月では,上下8本の前歯が萌出しており,下顎右側乳中切歯は黄色歯で,やや矮小で,わずかな形態異常と軽度の捻転が認められた。術後8年では,永久歯は10本萌出しているが,下顎右側中切歯の矮小化と,下顎両側中切歯に唇舌的なずれが認められる。術後13年の状態は,_??__??__??_に叢生がみられ,また_??__??__??_の唇側歯肉の瘢痕形成,下顎右側中切歯の矮小化と下顎左側中切歯の半歯分右側偏位,左側中切歯の切端咬合を認めた。上顎右側第二大臼歯は未萌出,下顎右側第二大臼歯は半萌出であった。またパノラマエックス線写真にて,下顎右側側切歯に相当する部位の下顎下縁部に陥凹が認められた。顎骨CT上なんら異常は認められず,開口度は42mmで顎関節エックス線写真でも異常は認められなかった。
  • 1996 年 34 巻 1 号 p. 292-339
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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