小児歯科学雑誌
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小児歯科診療時に母親が術者に及ぼす心理的ストレスに関する研究
第1報 心理的ストレス反応尺度の開発
簡 妙蓉永田 綾佐牟田 毅石川 隆義長坂 信夫
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1052-1060

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抄録

治療の進行にあたり,診療室に入室した母親は術者に何らかの心理的ストレスを与えると考えられる。小児歯科診療時において,母親の態度や言語が術者に心理的ストレスをどのようにどの程度与えるかについての検索を3段階のステップをふまえて因子を抽出し,最終的に20問からなるアンケート形式の尺度を考案した。そして,そのアンケートが有効であるかについて,信頼性と妥当性の観点から検討を行い,以下の結果を得た。
1.因子分析することによって把握された因子構造は,『要求過剰な母親』『コミュニケーンヨン不全の母親』『厳格・神経質な母親』『過保護な母親』『心配症な母親』『多弁な母親』『感情的な母親』の7つであった。
2.小児歯科診療時における母親が術者に及ぼす心理的ストレス反応尺度において,内的一貫性と経時的安定性の両面より高い信頼性を得た。
3.日常生活における一般的な心理的ストレスを測定するPSRSの分類より,高ストレス群に属する人は,小児歯科診療時における心理的ストレス得点も高く,低ストレス群に属する人は,小児歯科診療時における心理的ストレス得点も低かったことより,妥当性を得た。
以上のことより,今回考案した心理的ストレス反応尺度が,小児歯科診療時に母親が術者に及ぼす心理的ストレスを測定する尺度として有効であることが示された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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