小児歯科学雑誌
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第一大臼歯齲蝕発生要因としての乳臼歯齲蝕処置・未処置状況の検索
黒川 泉松井 大介下岡 正八
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1226-1238

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抄録
新潟県北魚沼郡広神村の同一個体432名を対象に,9年間の経年的調査結果を資料とし,第一大臼歯齲蝕に影響を与える乳歯列期の乳臼歯処置,未処置状況を検索した。第一大臼歯が齲蝕に罹患するまでの健全期間別に乳臼歯処置,未処置状況を調査した。各健全群の健全期間に第一大臼歯が齲蝕に罹患したものを非健全群とし,健全群か非健全群かの項目と各年度ごとの乳臼歯処置,未処置状況との間でX2独立性の検定を行い,次のような結果を得た。
1.第一大臼歯の萌出を確認後1年以内に齲蝕に罹患した群では処置,未処置とも有意な関連は認められなかった。
2.第一大臼歯健全に寄与し関連性の強い歯種は,処置では第一乳臼歯であり,特に下顎に多く認められた。未処置では第二乳臼歯との関連性が強く,萌出後1年間健全であった群は下顎第二乳臼歯のみの関連であり,健全期間が長くなるにつれ上顎乳臼歯との関連が認められた。
3.各検定において最大の寄与率を示した処置はすべて健全側に属し,乳歯列期乳臼歯の処置は第一大臼歯の健全との間に関連が認められた。処置別では齲蝕進行抑制剤塗布が2年健全群に限局し,それ以上健全であった群は充填および修復処置であった。
4.各検定において最大の寄与率を示した未処置のうち,C1はすべて健全側に属していた。C3,C4は非健全側に属し,2年以内に齲蝕に罹患する群のみであった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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