小児歯科学雑誌
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舌習癖に対する可撤式習癖除去装置の治療効果について
石川 雅章寺木 智子山田 恵理桔梗 知明舩山 研司
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1997 年 35 巻 1 号 p. 11-18

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抄録
舌習癖を伴う歯槽性の開咬ないし開咬傾向と診断された混合歯列期の小児12名に,タングクリブを埋め込んだHawley型床装置(床装置群)および開咬治療用バイオネーター(バイオネーター群)を装着し,診査時および平均治療期間1年後の側貌頭部エックス線規格写真を標準値同年齢群と比較検討した.
両群とも診査時のオーバーバイト量は標準値群より有意に小さかったほか,床装置群ではプロスチオン-インフラデンターレ間距離が有意に長く,バイオネーター群ではS-N平面に対する上顎中切歯角が有意に大きかった.
装置撤去前後のオーバーバイト量は,床装置群で1.0mm-0.2mmの範囲に,バイオネーター群では1.5mm-0.2mmの範囲となった.床装置群では下顎下縁平面に対する下顎中切歯角が有意に小さくなり,上顎,中切歯歯軸は概して標準値に近づいていった.量的計測項目の変化量は,プロスチオン-インフラデンターレ間距離は有意でなくなったものの,この時期の標準値群変化量よりも多かった.バイオネーター群でも下顎中切歯舌側傾斜が観察された一方,上顎中切歯唇側傾斜は多少緩和され,A点の有意な移動とともに,付加した筋排除板の効果とも解釈できた.量的計測項目の変化量はこの時期の標準値変化量相当であった.
両群の過大であった下顎前歯の舌側傾斜を少なくするために,床装置ではタングクリブの設計を,バイオネーターでは調整法を改善することが必要と思われた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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