歯の成長発育の実態を究明すべく,平成元年4月1日から平成6年3月31日までに大阪歯科大学附属病院小児歯科外来を訪れた2歳0か月-14歳11か月の小児のオルソパントモグラムを用いて調査した. 調査資料数は,男子5,700枚,女子5,500枚の合計11,200枚であった. そのうち実際に判定できた歯は,下顎第一小臼歯(男子右側5,158歯,左側5,164歯,女子右側4,975歯,左側4,977歯),下顎第二小臼歯(男子右側4,752歯,左側4,776歯,女子右側4,637歯,左側4,623歯),下顎第一大臼歯(男子右側5,204歯,左側5,185歯,女子右側5,027歯,左側5,024歯),下顎第二大臼歯(男子右側4,883歯,左側4,903歯,女子右側4,725歯,左側4,730歯)であった.
歯の成長発育の評価法としては,Moorreesらの分類法に準拠して分類した. すなわち,大臼歯では14段階,小臼歯では13段階に分類し,それぞれの石灰化の発育段階を0-14点までの数値におきかえて,資料の計測を行った. その結果,
1)各歯の発育段階において,女児のほうが,男児よりも歯の形成(石灰化)が早く,とくに形成中期において,その傾向の大きいことを認めた.
2)左右側の発育は,男児,女児ともに,その差異を認めなかった.
3)男女において第二小臼歯と第二大臼歯の石灰化状態は,近似していた.
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