小児歯科学雑誌
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本学小児歯科における唇顎口蓋裂児の管理状況
-乳歯列期から混合歯列期における歯の異常について-
土岐 裕子荻野 由美根日屋 祥子高橋 真朗佐藤 昌史井上 美津子佐々 竜二
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1997 年 35 巻 3 号 p. 489-498

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抄録

昭和大学口蓋裂診療班で管理され,小児歯科においても口腔管理を受けている唇顎口蓋裂児116名(男児57名.女児59名)を対象に,乳歯およびその後継永久歯における上顎前歯部の歯の異常の発現状況について調査を行い,以下の結果を得た.
1.対象とした唇顎口蓋裂児を裂型別にみると,唇顎口蓋裂が48.3%と最も多く,次いで唇顎裂28.4%,口蓋裂19.0%,口唇裂4.3%の順であった.
2.顎裂の部位はA∇BC間が56.4%,AB∇C間が24.5%,A∇C間が19.1%の順であった.
3.歯の異常は,全体的に乳歯に比べて永久歯の発現頻度が高かった.歯数の異常では,乳歯は過剰歯の発現が多く(20.7%),永久歯は欠如が多く(57.8%)みられた.また,永久歯においては顎裂を伴うもので,歯数や位置の異常の頻度が高かった.
4.裂側と非裂側別の歯の異常の発現頻度は乳歯,永久歯ともに裂側に多くみられたが,歯数や位置の異常は非裂側にも発現するものが認められた.また,歯種別では裂側の乳側切歯,永久側切歯に何らかの歯の異常が多くみられた.
5.乳歯に異常が認められなくても,後継永久歯に異常の発現する頻度が高く,とくに,唇顎裂児では形態および位置の異常が,唇顎口蓋裂児では歯数の異常が多くみられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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