小児歯科学雑誌
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大阪歯科大学附属病院小児歯科外来患者における先天性欠如歯の統計学的研究
鈴木 祥子柘植 昌代重山 文子岸本 寿子原 直仁音山 考子人見 さよ子新門 正広嘉藤 幹夫大東 道治
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1997 年 35 巻 4 号 p. 563-572

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抄録

乳歯と永久歯の先天性欠如が,どのように関連しているかということを知るのは,臨床において非常に重要なことである.そこで,大阪歯科大学小児歯科外来を訪れた小児患者25,130人を対象に乳歯または永久歯に先天性欠如を有する340人の問診,経年的オルソパントモグラム及びデンタル型エックス線写真を研究資料として乳歯および永久歯の先天性欠如をそれぞれ比較検討し,以下の結果を得た.
1.乳歯に欠如のある者の発現率は0.12%,永久歯に欠如がある者は1.35%であった.
2.乳歯および永久歯ともに欠如の発現率には,男女別,左右側別,上下顎別,前歯臼歯部別に差を認めなかった.
3.欠如歯数別の発現率では,乳歯および永久歯ともに1歯欠如が最も多く,次に2歯欠如が多く認められたが,永久歯では5歯以上の欠如はかなり少なかった.
4.一人当りの欠如歯数は,永久歯では男女差は認められなかったが,乳歯においては女児より男児の方が多数歯の欠如が多いことが認められた.
5.乳歯が欠如し,その後継永久歯が欠如する発現率は79.0%であり非常に高く,特に上顎側切歯の症例に多く認められた.また,乳歯欠如が認められたのにもかかわらず,その後継永久歯に欠如の認められなかった症例も21.0%認められた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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