小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
正常乳歯列の歯列・咬合状態の選択基準による相違に関する一考察
浜田 作光進士 久明大館 満井上 裕之内村 登
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 35 巻 5 号 p. 839-844

詳細
抄録

日本小児歯科学会は,食生活など小児を取り巻く環境の変化による乳歯列への影響を確認することを含め,日本人乳歯列の標準値を求める目的で,乳歯および乳歯列・咬合状態に関する全国規模の調査を行った。その調査結果のうち,乳歯歯冠および乳歯列弓の大きさには,過去の結果との差異はほとんど認められなかった。しかし,歯間空隙の発現頻度および乳歯列咬合状態については先人の報告,とくに多くの成書に記載されている報告との相違が大きかった。このことは,正常乳歯列の選択基準による相違と考え,1991~1992年に本学小児歯科外来に来院した初診患者の診断資料のうち,上下顎乳歯列石膏模型のなかから,小児歯科学会の設定した第一次および第二次選択基準に基いて正常乳歯列を選別し,これを日常の小児歯科臨床の代表的数値と比較検討し,次の結果を得た。
1)歯間空隙発現頻度およびターミナルプレーンの分類別発現頻度の相違は,正常乳歯列の選択基準によると考えられた。
2)年代,地域差,食生活などの要因が計測値や頻度分布に影響していない可能性が示唆された。
3)乳犬歯咬合関係の分類別発現頻度は,第一次・第二次選択群ともI型,II型,III型の順であった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top