抄録
中学生における歯周疾患の罹患状態を経年的に把握する目的で,広島市内の某中学校の平成4年度入学117名を対象にOral Rating Index(以下ORI)を指標とした3年間の経年調査を行い,以下の結果を得た。
1.ORIの評価が「-」の生徒の割合は1年次で全体の19.7%,2年次で30.8%,3年次で45.3%と学年が上がるに従って増加した。
2.ORIの全体平均は1年次0.38,2年次-0.13,3年次-0.26と経年的に有意に低下した(p<0.001)。男女別では1年次は男子の方がORIが高く(P<0.01),3年次では女子の方が高かった(P<0.05)。
3.1年次と3年次のORIの経年変化を比較すると,3年次にORIが低下した生徒の割合は52.1%で,全体の半数以上を占めた。男子では73.7%が,女子では31.7%がORIの低下を認め,男子で歯周状態の悪化する生徒が多かった。さらに,1年次のORIの評価が「+」であったが,3年次に「-」に転じた生徒の割合は32.1%で,歯周状態は不良となっていた。また,1年次にORIの評価が「-」であった生徒の60.9%に歯周状態の改善は認められなかった。以上より,中学生の歯周状態は,学年が上がるに従って経年的に悪化する傾向が認められ,その変動には性差があることが明らかとなった