小児歯科学雑誌
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鹿児島大学歯学部附属病院小児歯科外来に受診した障害者(児)の衛生統計学的研究
-その2全身麻酔下集中歯科治療症例-
石倉 行男森主 宜延小椋 正豊島 正三郎横山 幸三椙山 加網入船 正浩城 茂治
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1999 年 37 巻 1 号 p. 128-136

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抄録

鹿児島大学歯学部小児歯科において実施された17年間(1981年-1997年)の障害者(児)の全身麻酔下集中歯科治療症例について衛生統計学的検討を行い,以下の結果を得た。
1)症例数は合計375症例(男性235症例,女性140症例)で全身麻酔下集中歯科治療を開始してから6年目にあたる1986年に急増した。8年目の1988年に50症例と最多症例数を示し,その後症例数はほぼ一定していた。
2)平均年齢は10歳6か月であり,4歳から6歳が全体の約35%と最多頻度を示し,12歳以下が全体の約68%を占めていた。また,平均年齢は年々高くなる傾向を示した。
3)地域別症例分布は,鹿児島市外および県外,離島を含めて約69%を占めていた。
4)障害別分布は,精神発達遅滞が23.5%と最多頻度を示した。次に自閉症・脳性麻痺が多頻度を占めた。
5)麻酔方法として,前投薬はスコポラミンとペンタゾシンの組み合わせが約80%で,緩徐導入法・経鼻的挿管による吸入麻酔が顕著に高頻度を占めた。
6)処置内容はレジン充填・抜歯・歯髄処置の順に高頻度を示した。一人平均処置歯数は13.6歯だった。
7)全身麻酔下集中歯科治療に関しては,安定した受け入れが行われていることが示されたが,今後,対象者の高齢化が予測され,歯科治療ならびに管理に留まらず内科的疾患の対応も生じ,病院全体のサポートシステムの充実の必要性が示された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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