小児歯科学雑誌
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妊娠マウスへのレチノイン酸過剰投与が胎仔下顎骨へ与える影響について
鈴木 淳子荻原 和彦菊池 憲一郎相山 誉夫
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1999 年 37 巻 4 号 p. 810-823

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抄録

妊娠母体がレチノイン酸(RA)を過剰に摂取すると,胎児の下顎骨の発育にどのような影響が現れるかを調べる目的で研究を行った。妊娠マウスの腹腔内へRAを濃度と投与時期を変えて投与した。妊娠18日目胎仔の下顎骨についてアリザリンレッドとアルシアンブルー染色を施した骨染色透明標本,およびコッサ法とアルシアンブルー染色を施した組織切片標本を作製し,検討を行った。得られた結果は次のとおりである。
1.妊娠10日目以前にRAを投与した胎仔は,それ以降に投与した胎仔と比較して顎・顔面領域の形態異常の発現率が高かった。
2.妊娠7日目にRA濃度の5μg/g weightから50μg/g weight投与した胎仔は顎・顔面領域,特に下顎骨に催奇形性を発現することが認められた。
3.下顎骨に発現する異常は下顎枝の形成不全がほとんどであり,極度に細い下顎枝や筋突起を欠く個体はすべて外脳症を伴っていた。
4.形成不全を示す下顎枝の骨と軟骨の組織形成量は対照群に比べて劣っていた。関節円板と線維性被膜の発育も不十分であった。
5.下顎体の外形と組織構造の障害は下顎枝に比べて軽微であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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