2000 年 38 巻 4 号 p. 906-914
乳歯列および永久歯列に多数の欠如歯が認められた部分性無歯症の患児に対して,可徹式保隙装置の装着および咬合誘導処置を施し,3歳1か月から混合歯列咬合に至るまで咬合管理を行ったので,その経過について報告する。
1)初診時において〓の先天欠如と永久歯胚は,〓の先天欠如が認められた。〓の円錐歯化傾向,〓の萌出遅延が認められ,咀嚼困難を主訴として来院。
2)可撤式保隙装置を装着することによって,咀嚼困難の改善と,審美性の回復が認められ,患児に心理的変化が認められた。
3)成長に伴い,咬合誘導のため上顎歯列の拡大を行った。
4)現在は,混合歯列咬合も安定し,保定,経過観察中である。