小児歯科学雑誌
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アメロジェニン遺伝子の構造解析を行った遺伝性エナメル質形成不全症の1例
清水 武彦朝田 芳信前田 隆秀
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2001 年 39 巻 1 号 p. 276-284

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抄録

遺伝性エナメル質形成不全症を疑う患児の口腔管理と並行して,アメロジェニン遺伝子の構造解析を行ったところ以下のような知見を得た.
1.初診時の年齢は3歳7か月であり冷身的には異常は認められなかった._??__??__??_が萌出しており,_??__??__??_にはエナメル質の広範囲な欠損が認められ,象牙質が露出しており,_??__??__??_に冷熱過敏が認められた.肉眼所見より残存エナメル質はほぼ正常な厚さを有し,エナメル質の硬さは健常児よりやや柔らかく,エックス線写真上ではエナメル質は象牙質と比較しわずかに強いエックス線不透過度を示し,エナメル質の低成熟な状態であった.遺伝要因以外の原因は問診により除外され,遺伝性エナメル質形成不全症と診断した.
2._??__??__??_には乳歯用金属冠,_??__??__??_にはコンポジットレジンにより歯冠修復を行った.
3.本症例は家系調査と臨床所見からは遺伝様式を決定することが困難であった.そこで遺伝様式の判定のために,X染色体上のアメロジェニン遺伝子のexon塩基配列の決定を試みた.その結果,健常者のアメロジェニン遺伝子構造と完全に一致し,本症例の遺伝様式はX連鎖性遺伝ではなく,常染色体性遺伝性エナメル質形成不全症である可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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