小児歯科学雑誌
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下顎歯列弓における拡大矯正装置の効果に関する実験的研究
浜田 則子荻原 和彦相山 誉夫
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2002 年 40 巻 3 号 p. 531-540

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抄録

下顎歯列弓における拡大矯正装置の効果を明らかにする目的で,イヌの下顎歯列弓に拡大床を56日間装着して拡大ネジを調節し,歯の位置的変化,水平面における歯列の変化ならびに歯周の組織学的変化を検索し,以下の結論を得た。
1.歯列弓長径は,実験群の方が対照群よりも減少する傾向を示したが,咬頭頂間幅径および歯頸部間幅径は,実験群の方が対照群よりも増加する傾向を示した。
2.実験群の両側の咬頭頂間幅径は,両側の歯頸部間幅径よりも増加度がわずかに大きく,下顎歯列弓の側方拡大量は,前方歯から後方歯に向かうに従って,少なくなる傾向を示した。
3.実験群の頬側歯槽骨の歯槽頂付近の頬側面に新生骨の添加,舌側歯槽骨の歯槽頂付近の舌側面に骨の吸収がそれぞれ観察された。また,歯根膜には,舌側歯根中央部でわずかであるが,膠原線維の変性像が認められた。
4.実験群の歯のセメント質は,わずかであるが頬側の方が舌側よりも肥厚する傾向を示した。
5.下顎結合部の正中間隙は,実験群の方が対照群よりもわずかに伸展し,一定の幅を保つ傾向を示したが,著明な変化は見られなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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