小児歯科学雑誌
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oligodontiaにおける永久歯先天欠如様式の考察
石川 雅章高橋 昌司藤田 晴子高木 裕三
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2003 年 41 巻 5 号 p. 855-859

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抄録

特記すべき全身的疾患がなく,第三大臼歯を除く永久歯を4本以上先天的に欠如したoligodontia12名について,パノラマエックス線写真により特定した欠如歯を左右一緒に歯種ごとに集計し,欠如歯総数として算出した。このうち,代生歯である上下顎中切歯から第二小臼歯までの欠如歯総数の多寡と,ヒトにおける欠如歯出現様式を理論的に説明した藤田の末端退化説との一致度を検討した。
上顎歯列では中切歯の欠如が1例もなく,欠如歯総数は側切歯から第二小臼歯へと遠心方向に向かって順次増加していった。一方,下顎では欠如が1例もなかった犬歯を中心として,近心方向に向かって側切歯,中切歯,遠心方向に向かって第一小臼歯,第二小臼歯の順に欠如歯総数が増加していった。
以上の結果は,上顎中切歯と上顎犬歯を鍵歯とし,下顎を先行させて上下顎を一線に連ねることを前提とする藤田の末端退化説とは必ずしも一致しなかった。そこで,藤田説の改訂を試み,上下顎を別個のものとし,鍵歯は上顎歯列では中切歯のみであり,下顎歯列では犬歯であると想定した。すると本研究の結果は,上下顎とも鍵歯を中心とした歯群の末端にいくほど欠如歯総数が多くなり,「退化は各歯群の前端および後端から起こる」という藤田理論の中枢と矛盾なく合致した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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