小児歯科学雑誌
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williams症候群小児の口腔管理
西野 華子井出 正道朝田 芳信
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2003 年 41 巻 5 号 p. 912-917

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抄録

williams症候群は成長障害,精神発達遅滞,心血管系奇形を主症状とする常染色体遺伝病と考えられている。他の医療機関においてFluorescence in situ hybridization(FISH)法を用いWilliams症候群と診断された初診時年齢4歳7か月の男児の口腔管理を行ったので,その経過について報告する。
患児の全身所見は,低体重,低身長,軽度の精神発達遅滞,歩行障害が認められ,心房中隔欠損症の既往もあったが2歳時に自然閉鎖していた。顔貌はwilliams症候群特有の妖精様顔貌であった。口腔内所見は多数歯の齲蝕を認めたが,エナメル質形成不全は明らかではなく,高口蓋も認めず,咬合状態は前歯部反対咬合であった。パノラマエックス線写真所見では乳歯の形態には異常は認められなかったが,永久前歯の形態と位置の異常が疑われた。
歯科治療開始当初は泣く,体動があったりと協力状態が不良であったが,治療回数を重ねる毎に歯科的環境を受け入れるようになり,協力状態に改善がみられた。
このような全身疾患を伴う症候群を有する小児では,口腔内の健康を保つことが重要であり,定期的な管理を行う必要がある。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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