小児歯科学雑誌
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歯冠の形態修正により自然萌出がみられた埋伏上顎中切歯と過剰歯との双生歯の1例
福島 知典清水 武彦菅野 亜里早田中 眞理朝田 芳信前田 隆秀
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キーワード: 双生歯, 上顎中切歯, 埋伏歯
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2004 年 42 巻 1 号 p. 119-123

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抄録

上顎右側中切歯の萌出遅延を主訴として,日本大学松戸歯学部付属歯科病院小児歯科を受診した9歳の女児に,極めて稀である上顎中切歯と過剰歯との双生歯の埋伏を認めた。
1.口内法エックス線写真およびCT画像より,上顎右側中切歯と過剰歯が癒合した双生歯の埋伏を認めた。歯冠の巨大化に伴い相対的に萌出余地が不足し,萌出が障害されていると思われた。
2.局所麻酔下で埋伏双生歯の過剰歯部分の歯冠除去および形態修正を行ったところ,双生歯の萌出路が確保され,自然萌出が認められた。
3.双生歯の萌出後,低位唇側転位が認められたため咬合誘導を施行したところ,上顎前歯部に認められた歯列不正は著しく改善された。
以上のことより歯根未完成な埋伏双生歯に対し,萌出を障害している歯冠の一部を除去および形態修正することで自然萌出が期待でき,その後の咬合誘導に有効であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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