小児歯科学雑誌
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42 巻 , 1 号
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  • 大谷 周平, 早崎 治明, 岩瀬 陽子, 中田 志保, 中田 稔
    2004 年 42 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成長期の小児において,咀嚼機能の軌跡であると考えられる乳臼歯咬合面形態の経時的変化を明らかにする目的で,接触型三次元座標測定装置を用いた形態データの重ね合わせシステムを開発した。このシステムに関する精度を形状測定用基準ブロックおよび上顎右側第一大臼歯を用いて算出した結果,両者とも高い精度を有し,解析に十分耐えうる値であると考えられた。
    本システムを応用してHellmanの歯齢IIC期(6歳8か月),32か月後のIIIA期(9歳4か月),さらに17か月後のIIIA期(10歳9か月)の経年的な歯列石膏模型を得ることができた男児1名を被験者とし,上顎右側第二乳臼歯について解析を行った。まず,これら咬合面形態を重ね合わせ,咬頭や咬合小面の高さおよび範囲の変化を直接比較し,その変化を元に咬耗量の算出を行った。さらに,高さの差を等高線で示すことで視覚的にも咬合面形態の変化を明らかにすることが可能となった。その結果,咬耗量は6歳8か月から9歳4か月までは4.6mm3,9歳4か月から10歳9か月までは2.1mm3,そして計測を行った期間で咬合面は遠心舌側咬頭を除く全ての咬頭に咬耗が認められ,急峻な斜面がより水平的に変化してゆく様がうかがえた。
    今後,この研究をさらに発展させ,咬合面形態と機能との関連性を明らかにすることも重要であると考えられた。
  • 藤武 貴尚, 田谷 雄二, 内川 善盛, 青葉 孝昭
    2004 年 42 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    舌の初期発生では,後頭体節皮筋節から下顎突起内に移住した筋前駆細胞が筋芽細胞から筋管細胞へと分化を遂げる。本研究では,胎生10-18日のICRマウス胎仔から前頭断あるいは矢状断での連続薄切標本を作製し,舌の形態形成と筋細胞系譜の増殖・分化を調べた。特に,外側舌隆起の形成から舌体部の膨隆に至る初期発生において,筋芽細胞分化マーカーであるDesminとMyoDの局在を免疫組織化学により検討した。舌原基の形態的指標となる外側舌隆起は,下顎突起の癒合直前の胎生11.0日に識別でき,その後の約24時間で左右側舌隆起の癒合と組織増生により舌体部の形態形成が急速に進行した。舌体部での形態計測から,胎生11.4-12.3日に舌間葉組織での細胞増殖活性が亢進しており,胎生12.0日以降では舌尖および舌根への前後方向での成長を続けるが,舌体部での組織成長はいったん一定レベルを保つことが分かった。この急激な組織成長の開始時期に一致して,胎生11.4日の舌体部の間葉組織ではDesmin陽性あるいはMyoD陽性の細胞が出現していた。今回の結果から,筋前駆細胞から筋芽細胞への分化誘導は外側舌隆起の発生には直接関与しないが,舌体部の組織成長の引き金となることが示唆された。
  • 澤味 規, 早崎 治明, 中田 志保, 中田 稔
    2004 年 42 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    滑走運動は,下顎の基本的な運動のひとつであり,数多くの研究が行われてきた。しかし,前方滑走運動および側方滑走運動の範囲についての報告はあるものの,これら下顎滑走運動の可動域の面積を定量したものは限られている。本研究では,乳歯列期小児10名の下顎の任意の滑走運動より作成した下顎滑走運動面,すなわちポッセルト・フィギュアの上面の面積および範囲の定量化を行った。また成人女性16名との比較検討も行い,小児の下顎機能の特徴を明らかにすることを目的とし,解析を行った。その結果,以下の結論を得た。
    1.乳歯列期小児の下顎滑走運動面の面積は成人と比較して,切歯点,犬歯,臼歯において有意に小さく,顆頭点においては有意な差は認められなかった。
    2.乳歯列期小児の下顎滑走運動面の範囲は成人と比較して,切歯点,犬歯,臼歯において側方成分および垂直成分が有意に小さく,顆頭点においては垂直成分が有意に小さかった。
    3.下顎滑走運動面は,切歯点において咬頭嵌合位を含む矢状面に対して左右対称であり,他の計測点では反対側同部位と比較してすべての解析項目において有意な差は認められなかった。
    4.最大面積であった切歯点の下顎滑走運動面面積を基準として犬歯,臼歯との比率では,乳歯列期小児と成人はほぼ一定であり,顆頭点における比率は乳歯列期小児が成人より大きかった。
    本研究により,乳歯列期小児と成人では下顎滑走運動面面積において差が認められた。
  • 黒田 國康, 山崎 要一, 早崎 治明, 中田 稔
    2004 年 42 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,咀嚼運動や開閉口運動といった下顎の機能運動時に頭頸部の協調的な活動がみられるとの報告がある。今回,小児におけるこのような頭頸部協調活動の特徴を調査するために,従来から当科において下顎運動計測に用いている計測装置TRIMETを使用し,乳歯列期小児19名および成人女性16名を対象として下顎の習慣性開閉口運動および頭部運動の計測を行い,それぞれについて得られた結果を比較した。
    頭部運動を開始する時点の頭位は,フランクフルト平面をやや上方に向けた頭位であり,頭部運動最上方点での頭位とともに小児と成人の2群間で有意差は認められなかった。頭部運動の最大垂直移動量,最大回転量,下顎運動の最大垂直移動量,最大回転量を検討した結果,特に小児の頭部運動はより多くの回転要素をもった運動であった。
    頭部運動と下顎運動の最大垂直移動量の相関および頭部運動と下顎運動の最大回転量の相関を検討した結果では,小児も成人も個人内では下顎が大きく動いた場合,頭部も大きく動いており,特にその傾向は成人の方が強かった。また,頭部運動は下顎運動に比べ変動が大きいと考えられた。
    以上より,小児では下顎開閉口運動時に成人と様相の異なる頭部運動が行われていることが明らかになった。
  • 渡邉 景子, 白數 慎也, 大東 道治
    2004 年 42 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究ではヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF)の増殖能に対する他の成長因子の役割を解明する目的で,insulin-like growth factor-I(IGF-I),plate-derived growth factor(PDGF)の影響について検討した。さらに,出血成分中に多量に存在するadenosineおよびATPの増殖能に対する効果についても合わせて検討を行い,細胞増殖経路の解明を行った。IGF-IおよびPDGFを24および72時間反応させた時,濃度依存的に細胞増殖能の増加が認められた。一方,HPLFにadenosineおよびATPを添加した場合は500μM濃度において細胞増殖能の有意な減少が認められた。次に,IGF-I(100μM)にadenosine(500μM)あるいはATP(500μM)を添加したところIGF-Iによる細胞増殖能が減少することが明らかとなった。一方,PDGF(100ng/ml)にadenosineあるいはATPを添加したところ著明な変化は認められなかった。以上の結果より,HPLFに対してIGF-IおよびPDGFは細胞増殖能を亢進させる可能性が示唆され,さらにadenosineおよびATPがHPLFの細胞増殖に対して影響を与える可能性が示唆された。
  • 飯田 翠, 鍵下 麻記, 二木 昌人, 中田 稔
    2004 年 42 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    九州大学病院小児歯科外来を受診した患者の処置歴のない臼歯57歯の小窩裂溝部を対象に,DIAGNOdentTM(KaVo社製)を用いた計測を行った。そして視診,触診,齲蝕検知液による罹患歯質の有無,カリエスメーター(小貫社製)測定値から総合的齲蝕診断と治療選択を行った。これらよりDIAGNOdentによる測定値(以下,DIAGNOdent値)の特徴を明らかにすると同時に,カリエスメーターによる電気抵抗値(以下カリエスメーター値)との比較によるCO,C1,C2との関連付けを試み,臨床的有用性を検討した。
    その結果,カリエスメーター,DIAGNOdentTMとも計測者間の計測値に有意差は認められなかった。また,カリエスメーター,DIAGNOdentTMとも同一計測者が2回ずつ計測したが,計測器,計測者の違いにかかわらず,変動率はいずれも10%-16%の問であった。DIAGNOdent値とカリエスメーター値の間には,対数近似曲線にてR=-0.68の高い負の相関がみられた。カリエスメーター値が600kΩ 以上は健全,250kΩ-599kΩ がC1,249kΩ 以下がC2とされていることより,近似曲線からDLAGNOdent値15付近が齲蝕の有無の境界,27付近がC1とC2の境界と考えられた。総合的齲蝕診断による健全,CO,C1,C2に対するDIAGNOdent値を比較したところ,健全とCO,COとC1の間に有意差が認められなかった。このことよりDIAGNOdentTMではCOの範囲を特定するのは困難であった。
  • 北原 敦子, 渡辺 里香, 岡 暁子, 山崎 要一, 中田 稔
    2004 年 42 巻 1 号 p. 52-60
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1990年1月から2002年4月までの約12年間に,九州大学歯学部附属病院小児歯科を受診した埋伏および萌出遅延の上顎犬歯を有する小児のうち,当科にて治療を行い,口腔内に萌出を認めたか,もしくは摘出した44名54歯を調査対象とし,原因,病態,治療方法および治療期間について調査を行い,病態と治療方法の関係を検討した。
    1.歯胚異常が最も多く,その中でも歯胚の位置や萌出方向異常が大半を占めていた。
    2.治療方法別にみると,牽引力を加え萌出させた症例(以下,牽引群)が26歯,牽引力は加えず乳犬歯の抜歯,開窓および上顎犬歯の萌出余地を作るための拡大などの処置により萌出した非牽引の症例(以下,非牽引群)が25歯であった。上顎犬歯を摘出したものが1歯,上顎側切歯を抜歯して上顎犬歯を萌出させたものが2歯存在した。
    3.病態を治療法別にみると,非牽引群に比較して,牽引群はSector分類,垂直距離,近心傾斜角度が有意に高い値を示していた。
    4.牽引群において,垂直距離と治療期間には,有意な相関がみられた。
  • 須賀 弘子, 向井 義晴, 岡田 周策, 進士 久明
    2004 年 42 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    The aim of this study was to investigate the caries preventive effect of polyvinyl alchohol (PVA) film with NaF in vitro. Four types of PVA films of different NaF concentrations were prepared. Enamel blocks were cut from bovine incisor teeth and PVA films were placed on each enamel sur-face. After demineralization using 0.1 M lactic acid (pH 4.6) at 37°C for 10 days, the samples were sliced into 150μm-thick sections. A transversal microradiogram was used to evaluate mineral content profiles and calculate the integrated mineral loss (IML :vol%×μm) and lesion depth (Ld :μm) of the enamel subsurfaces. In addition, an electron probe microanalyzer was used for detecting fluoride in the lesions.
    The results obtained were as follows :
    1. The group with the PVA film without fluoride group showed less demineralized enamel compared with the group without the film group, and IML was reduced significantly on the specimens film with NaF content film with PVA of 0.22 and 0.44 were almost the same.
    2. The concentration of NaF in 0.22 PVA film may be the proper concentration for inhibition of enamel demineralization.
    3. Fluoride peak was detected to a similar depth of the highest vol% in lesion profiles.
    4. Fluoride released from PVA film will inhibit demineralization, enhance remineralization with pre-cipitating fluoroapatite in the lesions and may be effective for prevention of incipient enamel caries.
  • 齊藤 正人, 島袋 鎮太郎, 坂口 也子, 桜井 有子, 野呂 大輔, 菅谷 裕行, 五十嵐 清治, 西村 学子, 安彦 善裕
    2004 年 42 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ヒトβディフェンシンは種々な組織で発現している抗菌タンパクで,近年口腔粘膜および唾液腺での発現も確認されており,口腔内細菌に対する感染防御機構のひとつとして認識されてきている。本研究は,外科的処置で得られた小児歯肉を用い,代表的なヒトβディフェンシン,タイプ1(hBD-1),タイプ2(hBD-2)そしてタイプ3(hBD-3)mRNAそれぞれの局在および発現量を比較検討した。
    in situhybridizationによるhBD-1,hBD-2およびhBD-3mRNA局在の検索では,全てのβディフェンシンmRNAが,歯肉重層扁平上皮の棘細胞層上層から顆粒細胞層に局在していた。LightCyclerTMを用いた定量的PCR法(Real-timePCR)によるhBD-1,hBD-2およびhBD-3mRNA発現量の比較では,全てのサンプルに発現が認められたが,それぞれに有意差は認められなかった。
    以上の結果より,小児歯肉,重層扁平上皮におけるhBD-1,hBD-2そしてhBD-3mRNAの局在および発現量は類似しており,同様の機能もしくはそれぞれを補う役割を担っていることが示唆された。
  • 入江 庸介, 飯沼 光生, 小山 和彦, 桑原 康生, 田村 康夫
    2004 年 42 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科治療時に用いる局所麻酔に関して,61名の患児を用い,従来の手動式局所麻酔注射器と電動式局所麻酔注射器についての臨床効果を比較検討した。同一患児に日を異にし,両方の局所麻酔を行いVAS法(Visual Analogue Scale)によって評価を行った。
    1.麻酔前に注射に対する不安が有ると答えた患児は,電動は30名(49.2%),手動が48名(78.7%)であった。
    2.麻酔中の痛みの強さをVAS法により,小さい方から順に0から4までの5段階で分類した。電動は1が29名(47.5%)と最も多く,0と1の合計は46名(75.4%)であった。手動は2が27名(44.3%)を最も多く,0と1の合計は19名(31.1%)で電動の痛みが小さかった。
    3.治療中に痛みを感じた患児は,電動が1名(1.6%),手動は2名(3.3%)であった。
    4.注入速度と麻酔中の痛みの強さとの関係については,電動はLowでは1の17名(53.1%),Middleでは1の3名(75.0%),Highでは0の10名(40.0%)が最も多かった。手動においてはHighでは2の24名(44.4%)が最も多かったが,LowおよびMiddleは絶対数が少なく一定の傾向は認められなかった。
    5.今後どちらの麻酔を希望するか聞いたところ,電動が41名(67.2%),手動が9名(14.8%),どちらでもよいが11名(18.0%)であった。
  • 南 真紀, 阿部 真之介, 市川 智久, 福島 理恵, 鈴木 欣孝, 武田 智子, 鈴木 悦子, 吉田 美香子, 巣瀬 賢一, 鈴木 昭, ...
    2004 年 42 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科領域における疾病構造の変化,また少子社会の到来は,小児期の歯科医療のあり方にも大きな影響を与えてくると考えられる。本大学病院における小児歯科が,地域社会の要求に応じた歯科医療,より効果的な患者教育を実施していくうえでの指標を得るために,前回調査(1992-1996年)に引き続き,1997年から5年間の初診患者の実態調査を行い,以下の結論を得た。
    1.5年間の初診患者総数は2310名で,前回調査(1621名)より増加した。しかし後半の3年間は減少傾向にあった。
    2.初診時年齢は3歳が最も多く(約14%),6歳未満が全体の約60%を占めていた。この傾向は前回調査と同様であった。
    3.通院距離は5km以内が最も多く(約32%),前回調査と同様の傾向を示した。しかし,比較的遠方の半径15km以上では約25%を占め,前回調査(約10%)より増加した。
    4.主訴は齲蝕・痛みが約50%と最も多かったが,前回調査(約70%)より大幅に減少していた。
    5.一人平均齲歯数はdf歯数,DMF歯数共に前回調査より高い値を示した。これは齲蝕発生の二極化を示唆するものと思われた。
    6.紹介患者は前回(422名)より増え(592名),全体の約25%を占めていた。年齢では4歳児が,通院距離では半径10-15kmが最も多かった。
    7.心身障害児の新患来院数は前回とほぼ同様5年間で73名であった。
  • 苅部 洋行, 渋井 尚武, 河野 壽一, 石川 力哉, 上原 正美, 辻 裕子
    2004 年 42 巻 1 号 p. 87-95
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本歯科大学歯学部附属病院における歯学部第5学年113名の小児歯科卒前臨床実習を討論型少人数グループ学習にて行った。本実習方法に対する評価を学習者からのアンケート結果により分析し,以下の結論を得た。
    1.ファシリテータ評価,グループ学習進行状況,グループ学習満足度の評価項目の平均値は,5段階評価でそれぞれ4.64±0.56,4.34±0.68,4.43±0.61であった。
    2.常勤および非常勤の勤務形態の違いによるファシリテータ評価の差は認められなかった。
    3.ファシリテータ評価,グループ学習進行状況評価およびグループ学習満足度の問にそれぞれ有意な正の相関を認めた。
    4.学習者に与えた学習課題の違いにより,ファシリテータ評価に差は認められなかったが,進行状況と満足度には有意差が認められた。
    5.グループ学習満足度に影響を与える問題点として学習・討論時間の不足,実習施設の不備が挙げられた。
    以上より,小児歯科卒前臨床実習における討論型少人数グループ学習の満足度を高めるためには,学習や討論を円滑に進行させるための十分な時間配分と学習者の関心度の高い学習課題を提示することの必要性が示唆された。
  • 服部 基一
    2004 年 42 巻 1 号 p. 96-110
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    藤田保健衛生大学口唇口蓋裂センターにおいて新生児期から育児指導と口唇・口蓋裂形成術を含む総合的な口腔保健指導を受けた唇顎口蓋裂児197名を対象に,3歳児期の上顎歯列弓の大きさと咬合並びに発育状況を調査し,顎裂部の要因と哺乳状況が乳歯列の成長に及ぼす影響を検討した。
    3歳児期の上顎乳犬歯間幅径はUCL群とBCL群で大きく,UCLP群,BCLP群,CP群では小さかった。顎裂部の乳歯が先天欠如していた者では上顎乳犬歯間幅径が小さかった。また,UCLP群で顎裂部に歯数不足があった者では上顎歯列の正中線は患側へ偏位し,過剰歯があった者では健側へ偏位していた。上下歯列のcrossbiteに含まれる歯はUCLP群とBCLP群では多かった。terminal planeは両側ともmesial steptypeを示す者が多かった。
    新生児期に口蓋床を装着すると1回当たり哺乳量が増加した。3歳児期の上顎歯列弓が大きい群では,新生児期の1回当たり哺乳量が多かった。
    以上から,上顎歯列弓の発育は裂型と顎裂部の歯数異常の影響を受けるが,新生児期に口蓋床を装着して哺乳指導を行うと1回当たり哺乳量が増加し,上顎歯列弓の発育に好影響を及ぼすことが示された。
  • 小方 清和, 白瀬 敏臣, 河上 智美, 高橋 美保子, 内川 喜盛
    2004 年 42 巻 1 号 p. 111-118
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,上顎側切歯に認めた双生歯が,著しい形態異常により埋伏した症例に遭遇した。患児は処置開始時年齢7歳2か月の女児で,2歳の外傷時に撮影したエックス線写真から上顎右側側切歯歯胚に形態異常を認め,経過観察をしていた。7歳時に,対象歯は反対側同名歯と比較し萌出の遅延を認めた。自然萌出は望めないと判断し,双生歯を抜去,形態修正後に再植し歯肉弁にて被覆した。処置歯は術後約1か月で萌出し,約8か月後には咬合位に達した。経過観察中,処置歯は歯髄診断に反応を示さなかったが,術後の自発痛,誘発痛等の不快症状はなく,歯根の形成は継続していた。11歳時から約1年半行った矯正治療中に不快症状はなく,矯正治療終了後に処置歯歯冠部をコンポジットレジンにて形態修正した。
    本症例が良好な経過をたどった理由は以下のように考えられる。
    1.処置歯が歯槽窩外にある時間を最小限にし,処置時に歯周組織を傷つけないことに留意した。その結果,骨性癒着を認めず歯の移動も可能にすることができた。
    2.再植時に再び歯肉皮弁で被覆したことにより,細菌感染が最小限に抑えられ,再植後の歯髄治癒を良好にした。
    処置歯は臨床的な不快事項は認めないが,依然歯髄診断の反応は無い。しかし処置歯の歯根はその後完成し,咬合に耐えうる歯質が形成されたことが長期の予後観察で確認できた。
  • 福島 知典, 清水 武彦, 菅野 亜里早, 田中 眞理, 朝田 芳信, 前田 隆秀
    2004 年 42 巻 1 号 p. 119-123
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎右側中切歯の萌出遅延を主訴として,日本大学松戸歯学部付属歯科病院小児歯科を受診した9歳の女児に,極めて稀である上顎中切歯と過剰歯との双生歯の埋伏を認めた。
    1.口内法エックス線写真およびCT画像より,上顎右側中切歯と過剰歯が癒合した双生歯の埋伏を認めた。歯冠の巨大化に伴い相対的に萌出余地が不足し,萌出が障害されていると思われた。
    2.局所麻酔下で埋伏双生歯の過剰歯部分の歯冠除去および形態修正を行ったところ,双生歯の萌出路が確保され,自然萌出が認められた。
    3.双生歯の萌出後,低位唇側転位が認められたため咬合誘導を施行したところ,上顎前歯部に認められた歯列不正は著しく改善された。
    以上のことより歯根未完成な埋伏双生歯に対し,萌出を障害している歯冠の一部を除去および形態修正することで自然萌出が期待でき,その後の咬合誘導に有効であることが示唆された。
  • 2004 年 42 巻 1 号 p. 124-172
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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