小児歯科学雑誌
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小児の習慣性開閉口運動時にみられる頭部運動の検討
黒田 國康山崎 要一早崎 治明中田 稔
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2004 年 42 巻 1 号 p. 27-35

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抄録
近年,咀嚼運動や開閉口運動といった下顎の機能運動時に頭頸部の協調的な活動がみられるとの報告がある。今回,小児におけるこのような頭頸部協調活動の特徴を調査するために,従来から当科において下顎運動計測に用いている計測装置TRIMETを使用し,乳歯列期小児19名および成人女性16名を対象として下顎の習慣性開閉口運動および頭部運動の計測を行い,それぞれについて得られた結果を比較した。
頭部運動を開始する時点の頭位は,フランクフルト平面をやや上方に向けた頭位であり,頭部運動最上方点での頭位とともに小児と成人の2群間で有意差は認められなかった。頭部運動の最大垂直移動量,最大回転量,下顎運動の最大垂直移動量,最大回転量を検討した結果,特に小児の頭部運動はより多くの回転要素をもった運動であった。
頭部運動と下顎運動の最大垂直移動量の相関および頭部運動と下顎運動の最大回転量の相関を検討した結果では,小児も成人も個人内では下顎が大きく動いた場合,頭部も大きく動いており,特にその傾向は成人の方が強かった。また,頭部運動は下顎運動に比べ変動が大きいと考えられた。
以上より,小児では下顎開閉口運動時に成人と様相の異なる頭部運動が行われていることが明らかになった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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