小児歯科学雑誌
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小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性に関する臨床的研究
井上 美津子浅里 仁池田 訓子小林 聡美佐々 龍二高木 裕三朝田 芳信大嶋 隆小口 春久田中 光郎前田 隆秀宮沢 裕夫藥師寺 仁渡部 茂真柳 秀昭鈴木 康生下岡 正八野田 忠渋井 尚武進士 久明田村 康夫土屋 友幸大東 道治香西 克之西野 瑞穂木村 光孝本川 渉藤原 卓山崎 要一吉田 昊哲丸山 進一郎嘉ノ海 龍三品川 光春
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2005 年 43 巻 5 号 p. 561-570

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抄録
小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性を明らかにするため日本小児歯科学会の委嘱により,臨床における使用実態と不快事項の発現に関する調査を行った.大学病院小児歯科および個人小児歯科診療所より4,145名分のデータが収集され,以下の結果を得た.
1.局所麻酔を用いた治療は0歳から20歳以上の幅広い年齢層に行われていたが,12歳以下の者が約90%を占めていた.
2.全身疾患やアレルギー体質を有する小児は調査対象児の2割以上を占め,また局所麻酔が初めての小児が16.2%であった.3
.小児の治療において,局所麻酔はコンポジットレジン修復などの修復処置にも多用されていた.
4.局所麻酔薬剤としてはリドカイン製剤が多く用いられており,投与量は1.0ml以下が多かったが,1.8mlを超えた例も3%程度みられ,追加投与により総量が増える傾向がみられた.
5.術中,術後の不快事項は,それぞれ108名(2.6%),109名(2.6%)にみられた.不快事項の内容は,麻酔の奏効不良による疼痛や麻痺による違和感・不快感の訴えや,麻痺の残存による咬傷などが多くを占めていた.
6.局所麻酔薬剤の副作用を疑わせる熟睡や軽い呼吸困難,悪心などの症状は,術中に3例,術後に6例ほどみられたが,いずれも重篤なものではなかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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