小児歯科学雑誌
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43 巻 , 5 号
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  • 井上 美津子, 浅里 仁, 池田 訓子, 小林 聡美, 佐々 龍二, 高木 裕三, 朝田 芳信, 大嶋 隆, 小口 春久, 田中 光郎, 前 ...
    2005 年 43 巻 5 号 p. 561-570
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性を明らかにするため日本小児歯科学会の委嘱により,臨床における使用実態と不快事項の発現に関する調査を行った.大学病院小児歯科および個人小児歯科診療所より4,145名分のデータが収集され,以下の結果を得た.
    1.局所麻酔を用いた治療は0歳から20歳以上の幅広い年齢層に行われていたが,12歳以下の者が約90%を占めていた.
    2.全身疾患やアレルギー体質を有する小児は調査対象児の2割以上を占め,また局所麻酔が初めての小児が16.2%であった.3
    .小児の治療において,局所麻酔はコンポジットレジン修復などの修復処置にも多用されていた.
    4.局所麻酔薬剤としてはリドカイン製剤が多く用いられており,投与量は1.0ml以下が多かったが,1.8mlを超えた例も3%程度みられ,追加投与により総量が増える傾向がみられた.
    5.術中,術後の不快事項は,それぞれ108名(2.6%),109名(2.6%)にみられた.不快事項の内容は,麻酔の奏効不良による疼痛や麻痺による違和感・不快感の訴えや,麻痺の残存による咬傷などが多くを占めていた.
    6.局所麻酔薬剤の副作用を疑わせる熟睡や軽い呼吸困難,悪心などの症状は,術中に3例,術後に6例ほどみられたが,いずれも重篤なものではなかった.
  • 鈴木 康生, 真柳 秀昭, 福田 理, 森主 宜延, 西川 康博, 田中 晃伸
    2005 年 43 巻 5 号 p. 571-582
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科大学・大学歯学部における小児歯科学の教育,障害児歯科の教育ならびに大学(附属病院)における障害児(者)の歯科診療の現状を知る目的から,29歯科大学・大学歯学部を対象にアンケート調査を行った.小児歯科学の教育については,講義学年や講義時間数の設定等は多様化の傾向がみられた.また小児歯科学の講義学年では,4学年が多いが,低学年や複数学年にまたがる場合もみられた.
    障害児歯科の教育については,9大学で「障害者歯科学講座」等が設置され,他の多くの大学でも授業科目としての「障害者歯科学」が設けられていた.また,小児歯科学の中での「障害児歯科」の教育は,大多数の大学で講義がなされていた.「障害児歯科」の講義内容については,「心身障害児の歯科診療」,「小児疾患と歯科治療」について多くの大学で講義されていた.また,「症候群・先天異常(染色体異常・遺伝性疾患)」はほとんどの大学の小児歯科学の中で講義されていた.
    大学(附属病院)における障害児(者)の歯科診療の現況については,「障害者歯誌科」等の診療科が設置されているのが22大学であった.また診療科がない場合の受け入れ窓口は,小児歯科,あるいは小児歯科と他科とで担当していた.また小児歯科における障害児の歯科診療は,大多数が15歳以上も対象としており,20歳以上の障害者も対象として診療を行っている大学も多くみられた.
  • 清水 武彦, 福島 知典, 韓 娟, 松永 利恵, 天井 砂波里, 荒井 延子, 前田 隆秀
    2005 年 43 巻 5 号 p. 583-590
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    鎖骨頭蓋骨異形成症は常染色体優性遺伝性の疾患であり,鎖骨低形成,頭蓋骨縫合骨化遅延,歯の萌出遅延などを特徴とする症候群である.本症候群の遺伝子座は染色体6p21に位置し,この領域の転写因子の一つであるRUNX2の遺伝子変異が本症の原因であるとされている.本研究では,鎖骨頭蓋骨異形成症の1男児について,RUNX2遺伝子の変異解析を行ったところ以下2の知見を得た.
    1.患児に両側の鎖骨低形成,頭蓋骨縫合骨化遅延および泉門閉鎖遅延,乳歯脱落遅延および永久歯萌出遅延が認められた.本人および保護者に対する医療面接の結果,患児の症状は非家族性であると思われた.
    2.本症例のRUNX2のエキソン領域のDNAをPCRにて増幅し,シークエンシング法により塩基配列を決定した.その結果,患児のエキソン3のruntドメイン内にミスセンス変異を認めた.673塩基目のシトシンがチミンに変異することで,225番目のアミノ酸であるアルギニンがトリプトファンに変異していると予想された.この結果として,RUNX2タンパクの骨芽細胞分化に関わる正常な働きが損なわれ,本症候群が発症したものと考えられた.
    3.過去に報告された本症例と同一の変異を有する症例と,本症例の臨床症状を比較したところ,その症状は異なっており,遺伝子型と表現型は必ずしも一致しないことが示唆された.
  • 青柳 暁子, 島津 徳人, 佐藤 かおり, 内川 喜盛, 青葉 孝昭
    2005 年 43 巻 5 号 p. 591-598
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,1-hydroxyethylidene-1,l-bisphosphonic acid(HEBP)全身投与下におけるラット臼歯部での歯槽骨改造とTRAP陽性細胞の分化・活性化への影響を検討した.実験には5週齢の雄性SD系ラットを使用し,上顎第一臼歯の抜歯と体内埋入型浸透圧ポンプにて外頚静脈を介してHEBP(1.0mgP/day/kg体重)を7日間あるいは14日間持続投与した.抜歯窩と後方臼歯周囲の歯槽骨を対象としたμCT画像と組織像の観察から,HEBPは抜歯窩の治癒機転に影響を及ぼさないが,新生骨質の石灰化を抑制することが再確認された.HE染色と酵素組織化学による酒石酸抵抗酸性フォスファターゼ(TRAP)染色に基づく破骨細胞系譜の動態解析から,HEBP持続投与は循環系から局所へのマクロファージ系譜の細胞集積へ影響を及ぼさないが,多核化の障害,波状縁の発達阻害,骨質への接着能の減弱化が認められた.また,アポトーシス小体は単核細胞で多く検出されたが,多核細胞でのアポトーシス誘導は検出されなかった.これらのHEBPの作用効果は抜歯窩内で顕著であったが,歯根周囲の歯根膜空間では軽微であり,波状縁を発達させた破骨細胞が歯槽骨を吸収する所見もみられた.金身投与されたHEBPが近隣する臼歯部で異なる作用効果を示した理由として,持続的投与期間において新生骨質(類骨)にHEBPが蓄積され,破骨細胞による骨吸収に際して蓄積された薬剤の放出によって二次的に細胞機能に影響を与えたことが考えられる.
  • 京泉 みゆき, 船津 敬弘, 佐藤 昌史, 井上 美津子, 佐々 龍二
    2005 年 43 巻 5 号 p. 599-604
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低出生体重児の乳歯列から永久歯列に推移した症例について,その口腔内の経時的変化を検討するために,本学小児歯科外来を受診した極低出生体重児4名(出生体重1500g未満),超低出生体重児4名(出生体重1000g未満)の計8名から得られた乳歯列期および永久歯列期の石膏模型を資料とし,歯冠近遠心幅径,唇(頬)舌径,歯列弓長径,歯列弓幅径を計測し以下の結果を得た.
    1.歯冠の大きさは乳歯,永久歯共に歯冠近遠心幅径より唇(頬)舌径において健常児より小さくなる傾向がみられた.
    2.歯列弓の大きさは乳歯列,永久歯列共に健常児より長径は大きく,幅径は小さい傾向がみられた.
  • 井手 有三, 立川 義博, 西 めぐみ, 緒方 哲朗, 福本 敏, 野中 和明
    2005 年 43 巻 5 号 p. 605-612
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    授乳状況と齲蝕罹患との関連を検討することを目的とし,平成12年から15年までの4年間に1歳6か月児歯科健康診査を受けた811人を健診当時の授乳状況により卒乳群,母乳継続群,哺乳瓶継続群の3群に分類,調査した.各群について齲蝕有病者率,1人平均齲蝕歯数,および上顎乳前歯部に3本以上の齲蝕歯が認められた者を授乳齲蝕者とし,授乳齲蝕者率を分析した.さらに口腔衛生状態についても検討したところ,以下の結論を得た.
    1.母乳継続群の齲蝕有病者率,1人平均齲蝕歯数,授乳齲蝕者率はいずれも卒乳群,哺乳瓶継続群と比較し有意に高い値を示した.
    2.母乳継続群の口腔衛生状態良好率は卒乳群,哺乳瓶継続群と比較し有意に低い値を示した.またどの群においても,口腔衛生状態良好児の齲蝕有病者率,1人平均齲蝕歯数,授乳齲蝕者率は口腔衛生状態不良児のそれと比較し低い値を示した.
    3.卒乳群と母乳継続群における授乳齲蝕者率は母乳栄養の継続を確認できた最終月齢が1歳3か月以前の場合は極めて低かったが,1歳4か月以降になると急激に上昇した.
    以上より,母乳栄養を長期に継続した場合,齲蝕罹患率は高くなる傾向があるが,口腔衛生状態を良好に保つことによってその率は多いに下げ得ることが示唆された.また現行の歯科健診の実施時期である1歳6か月よりも以前に齲蝕罹患率の上昇時期があることから,歯科健診はより早期の1歳からの実施が必要と考えられた.
  • 島村 和宏, 春山 博貴, 相澤 徳久, 八木 幹彦, 山内 旬美, 鈴木 康生
    2005 年 43 巻 5 号 p. 613-618
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    抑制下での歯科治療が小児の呼吸および循環動態に与える影響を知る目的で,パルスオキシメータを用い,治療中患児の脈拍数および動脈血酸素飽和度(以下SpO2)を測定した。対象患児は,抑制せずに治療を行った群(以下,「非抑制群」)19名と抑制下で治療した群(以下,「抑制群」)16名とし,計測によって得られた治療中の最高値,最低値および最高値と最低値の差(以下,「Δ」)について,抑制群と非抑制群で比較検討した。その結果,脈拍数の最高値とΔ脈拍数は,抑制群が非抑制群よりも有意に多かった(p<0.0005)。SpO2の最低値は,抑制群が非抑制群よりも有意に低かった(p<0.05)。ΔSpO2では抑制群が非抑制群よりも有意に高かった(p<0.02)。抑制下での歯科治療中は,非抑制下と比較して,脈拍数および動脈血酸素飽和度が大きく変動することから,患児の観察とともに呼吸および循環のモニタリングの必要性が示唆された。またリスクの高い症例では,全身麻酔下歯科治療を選択することも必要と思われた。
  • 今上 隆子, 今上 茂樹, 西野 瑞穗, 木元 富士枝, 須藤 真奈美, 原田 桂子, 有田 憲司
    2005 年 43 巻 5 号 p. 619-623
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和62年度以降平成16年度まで香川県小豆郡某小学校に在籍した1年生~6年生,延べ5,650名を対象に,フッ化物洗口に対して了承を得たものに対し,1週間に1回給食後の歯みがき後,フッ化物洗口を実施し,年度別6年生DMF歯数を調査した.その結果,12歳児DMF歯数はフッ化物洗口開始後3年(平成2年)には全国平均のDMF歯数を下回り,その後さらに減少を続け,開始後10年(平成9年)にはDMF歯数は,0.75歯となり全国平均値3.34歯より著しく低い値を示したことが明らかになった.平成12年度にはDMF歯数0.21となり,健康日本21の目標値1を達成した.本研究から,小学校におけるフッ化物洗口を成功させるためには,フッ化物洗口の実施とともに,学校歯科医による集団に対する歯科保健指導や個々にあった歯みがき指導などの口腔保健教育が必要であることも明らかになった.
  • 韓 娟, 前田 実智子, 松永 利恵, 清水 武彦, 清水 邦彦, 前田 隆秀
    2005 年 43 巻 5 号 p. 624-630
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口唇裂,唇顎口蓋裂の発症は遺伝要因ならびに環境要因が影響するが,それらの機序はまだ解明されていない.本研究の目的はマウス唇顎口蓋裂発症に関与する環境要因の一つである母体効果を検討することである.著者らはA/WySn系統(以下Aとする)とC3H/He系統(以下C3Hとする)マウスを用い,雌雄をそれぞれ逆にして交配し,交雑F1マウスを得た.そしてF1マウスをAマウスに戻し,雌雄をそれぞれ逆にして交配し,[A×F1(A×C3H)],[A×F1(C3H×A)],[F1(A×C3H)×A]と[F1(C3H×A)×A]N2バッククロスマウス胎仔を作成した.妊娠マウスに妊娠11日目から14日目までの4日間,コルチゾン2.5mg/匹/日を投与した.胎生18日に帝王切開を行い,各群において着床数,吸収胎仔数,同腹胎仔数を調べた.生存胎仔において唇顎口蓋裂の有無について観察した.
    6群マウスにおいて胎仔の吸収率が36.4%~45.0%であり,群間に有意差は認められなかった.唇顎口蓋裂仔を妊娠した母獣の比率では,Aマウス(35.5%)がA×F1(15.5%)およびF1×A(22.2%)と比較し,有意に高かった.唇顎口蓋裂仔を妊娠した母獣は正常な口唇口蓋仔を妊娠した母獣と比較し,平均同腹仔数の差はみられなかったが,平均着床数と平均吸収胎仔数が多かった.また,AマウスおよびN2マウスは共に同腹仔数が8匹であった時の唇顎口蓋裂発症率は最も高い値を示した.
    本研究の結果から,コルチゾン投与によりマウス胎仔の高い吸収率を起すことが示唆された.また,唇顎口蓋裂の発症率は着床数および同腹仔数と関連することが示された.
  • 木本 茂成, 窪田 光慶, 松原 聡, 山口 三菜, 進士 久明, 佐藤 貞雄
    2005 年 43 巻 5 号 p. 631-638
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    臨床実習開始前の歯学部学生を対象として,小児患者の保護者に対する基本的態度の習得に対する少人数グループによるロールプレイの効果について検討した.
    学生3名ごとに歯科医師役,保護者役,観察者とし,順次交代しながら保護者に対するブラッシング指導(TBI)を課題としたロールプレイ形式の実習を行った.観察者となった学生は指導医とともに,歯科医師役学生の保護者に接する態度とTBIの技能に関する行動目標(SBOs)に対する到達度をOSCE形式で評価した.またロールプレイ終了後,学生の自己評価と実習に対するアンケートを実施した.
    歯科医師役学生に対する指導医評価,他学生(観察者)評価,および自己評価でのSBOs到達度の平均値は,それぞれ89.0%,90.4%,82.8%であった.また,筆記試験の結果とOSCEによる評価者別の評価結果の間には相関は認められなかった(相関係数0.1~0.2,p>0.1).さらに実習終了後のアンケートの結果,学生の98%は臨床技能の習得に際し,従来の実習よりもロールプレイによる実習を望んでおり,さらに臨床を模擬した多様な状況設定でのロールプレイ実習の有用性が確認された.少人数グループによるロールプレイ実習は,臨床実習前の患者および保護者に対する態度と医療面接における技能の習得,さらに学習意欲の向上に非常に効果的であることが示唆された.
  • 松本 弘紀, 角田 初恵, 夏堀 裕之, 原田 利佳子, 武藤 梨奈, 田中 光郎
    2005 年 43 巻 5 号 p. 639-644
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    全身疾患を有する小児にとって最もふさわしい口腔管理の在り方を検討し,目指すべき小児歯科と医科との連携方法を模索することを目的とした調査・検討を行った.対象は平成13年4月から平成17年3月までの4年間に,岩手医科大学附属病院歯科医療センター小児歯科外来に,附属病院医科からの紹介で来院した患児100名であり,本調査により以下の結果を得た.
    1.初診有病児数はこの4年間では減少傾向を示していた.
    2.有病児が有する疾患を分類した結果,腫瘍性疾患が36.0%で最も多く,次いで循環器系疾患が多かった.
    3.紹介元診療科は小児科が67.0%で最も多かった.循環器医療センターの小児科医師からの紹介をあわせると全体の約80.0%を占めていた.
    4.年齢分布は全初診患児とほぼ同様の傾向を示した.
    5.初診有病児の主訴の内訳は,精査が最も多く40.0%,次いで齲蝕が29.0%であった.
    6.齲蝕罹患状態は全初診患児と有病児でほぼ一致していた.また平成11年歯科疾患実態調査と比較して有病児は年齢別一人平均齲蝕歯数が多く,齲蝕の進行度において重症傾向が認められた.
    今回の調査から有病児における口腔内管理の必要性が改めて示唆された.有病児は易感染性疾患が多く,低年齢児が多いことを考えると,より早期から医科主治医と綿密な連絡を取り,全身状態について十分把握した上で,長期にわたる口腔内管理を継続していくことが重要であると考えられる.
  • 光畑 智恵子, 鈴木 淳司, 槇平 美夏, 曽田 芳子, 香西 克之
    2005 年 43 巻 5 号 p. 645-651
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科治療は患者に対してさまざまなストレスを与える.特に小児においては治療時のストレスが歯科恐怖や歯科不安を引き起こすと言われている.小児期の歯科恐怖は生涯にわたり口腔の健康を維持していく上で大きな障害となる.従って小児が歯科治療時に受けるストレスを客観的にとらえることは非常に重要である.今回我々は,成人においてストレス関連物質であると考えられている糖タンパク質クロモグラニンA(CgA)に着目し,小児唾液中の濃度を測定することで,歯科治療時に小児が受けるストレスを定量することを試みた.
    当科を受診した5~9歳の小児42名の唾液を歯科治療の前後でそれぞれ採取し,EIA法によるキットを用いてCgAの濃度を測定した.また小児の性格診断検査と歯科恐怖についてのCFSS-DS検査も併せて行い,CgA濃度との相関を検討し,以下の結果を得た.CgA濃度は歯科治療前より後の方が低下していた.特に低年齢児と男児においては治療前後の差は有意であった.性格検査とCgA値の間に相関は認められなかったが,CFSS-DS高値の小児は低値の小児に比べ全体的にCgA値は高く,さらに診療後のCgA値低下率の小さい傾向にあった.以上のことから小児唾液中のCgA値は歯科診療時に小児が受けるストレスの指標となり得ることが示された.
  • 浅里 仁, 井上 美津子, 石川 朋穂, 渋谷 泰子, 高田 貴奈, 柳原 正恵, 足立 マリ子, 佐々 龍二
    2005 年 43 巻 5 号 p. 652-659
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東京都K区の保健所および保健センターの歯科健診に来所した幼児の保護者を対象におしゃぶりの使用状況について,平成14年6月から平成15年3月までの期間に1歳2か月児,1歳6か月児,2歳0か月児,3歳0か月児の計3385名にアンケートによる調査を行った.その結果,
    1.使用実態は,各年齢とも使用経験なし群が最も多かった.
    2.使い始めた時期は,各年齢とも使用経験者の8割以上が生後8か月までであった.
    3.やめた時期は,1歳2か月児,1歳6か月児では生後6か月で使い終えた者が最も多く,2歳0か月児,3歳0か月児では生後12か月で使い終えた者が最も多かった.
    4.使い始めたきっかけは,口呼吸の防止と答えた者が多かった.
    5.使用しなかった理由は,各年齢ともに“与えてみたが子どもが使わなかった”と回答した者が最も多かった.
    6.使用しているときは,各年齢ともに最も多い回答が“寝るとき,眠いとき”であった.
    7.使用継続に関する保護者の考えは,“そろそろやめさせたい(具体的な対応あり)”と回答した者が,年齢が上がるにつれ多くなる傾向にあった.
    8.やめた理由は,各年齢ともに“子どもがあきて使わなくなった”と答えた者が,最も多かった.
  • 海原 康孝, 財賀 かおり, 中江 寿美, 蔵本 銘子, 槇平 美夏, 宮本 葉子, 鈴木 淳司, 天野 秀昭, 三浦 一生, 川端 康司, ...
    2005 年 43 巻 5 号 p. 660-668
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の歯列および咬合状態の推移について,縦断的な検討を行うことを目的とし,歯列研究用模型を用いた調査を行った.歯冠崩壊をした歯を有さず,咬合誘導治療を受けていない男児17名,女児10名,計27名の日本人小児の,4歳から12歳に至るまで,毎年行った印象採得で得られた研究用模型を資料とした.対象資料に関して,乳歯列から永久歯列へ至るまでの間,乳歯の空隙,咬合状態,臼歯の咬合関係,咬合の推移について検討を行い,以下の結果を得た.
    1.乳歯列の空隙は,男女ともに,発育空隙と霊長空隙が両方みられるものが最も多かった.また,男女ともに,上顎より下顎のほうが,空隙がない歯列の割合が多い傾向が認められた.
    2.正常咬合の割合は,5歳時は,男児47.7%,女児50.0%であったが,12歳時には男児23.5%,女児30.0%となった.また,4歳から12歳までの間で,最も増加した不正咬合は,叢生であった.
    3.ターミナルプレーンについては,両側とも垂直型の発現頻度が男児64.7%,女児60.0%と最も多かった.第一大臼歯の咬合関係は,I級が男児76.5%,女児80.0%と最も多く,次いでII級,III級の順であった.ターミナルプレーンと第一大臼歯の咬合関係は,垂直型からI級に移行するものが最も多くみられた.
    4.同一個人の乳歯列期と永久歯列期を比較検討した結果,乳歯列期に正常咬合であったものは59.3%で,そのうち永久歯列でも正常咬合であったものは62.5%であった.また,乳歯列に過蓋咬合であったものは,殆どが不正咬合に移行した.
  • 中西 正尚, 山田 賢, 中原 弘美, 田村 康夫
    2005 年 43 巻 5 号 p. 669-679
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,授乳方法と口腔機能発達との関連を検討する目的で,2歳児から5歳児の1357名(平均年齢3歳7か月)の保護者を対象にアンケートによる調査を行いその結果を分析,検討した.出生後3か月までの授乳方法から母乳哺育群(Br群),混合乳哺育群(Mix群),人工乳哺育群(Bo群)の3群に分類すると,Br群が399名(29.4%),Mix群が811名(59.8%)で,Bo群が147名(10.8%)であった.
    離乳に関して,離乳食開始時期,離乳食終了時期,断乳時期ともに授乳方法問に差は認められなかった.現在の食べ方について,18項目中,咀嚼の上手下手,前歯で噛みきる食べ物,食べ物の吐き出し,食べこぼし,食生活のリズム,食事の自立の6項目において群間の有意差が認められ,いずれもBr群が良好な発達を示していた.
    その他の関連項目で,吸指癖,おしゃぶり,言語発達の遅れ,性格面に有意差が認められた.以上より,アンケートではBr群が全体的に良好な咀嚼発達を示し,Bo群の食行動に一部問題がみられたことから,授乳方法はその後の咀嚼の発達に少なからず影響を及ぼしていることが示唆された.
  • 葉山 康臣, 尾崎 正雄, 石井 香, 井上 淳治, 本川 渉
    2005 年 43 巻 5 号 p. 680-688
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎犬歯の異所萌出は,小児歯科の臨床でもしばしば観察される.しかし,上顎犬歯における遠隔移転歯の症例は少ない.今回筆者らは,上顎左側犬歯が上顎左側第一大臼歯の近心まで転位した症例を診察する機会を得た.患者は,11歳0か月の女児で,学校検診において上顎左側犬歯の異所萌出を指摘され,同部の精査を希望して来院した.既往歴に特記すべき事項は無く,歯の外傷や全身的疾患は認められなかった.口腔内所見では,上顎左側乳犬歯の残存が認められ,上顎左側犬歯が,第一大臼歯の近心頬側より萌出しており,第二小臼歯を口蓋側に移動させていた.第一大臼歯の咬合関係は,左右AngleI級であり,overjetは4.Omm,over biteは5.Ommであった.上下顎の正中線はほぼ一致していた.しかし,患児には叢生が認められ,歯列周長分析を行ったところ,上顎-7.Omm,下顎-11.2mmのarch length discrepancy が認められた.そこで,上顎左側犬歯を前方へ誘導すると共に,上下顎左右第一小臼歯を抜去し治療を行った.動的治療は,3年5か月で終了し,根の吸収など異常所見は認められなかった.
  • 平野 慶子, 岡崎 好秀, 日野 香苗, 杜 小沛, 下野 勉, 徳永 忠之, 山岸 敦, 押野 一志
    2005 年 43 巻 5 号 p. 689-696
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    放射線治療を行い,唾液が減少した初診時年齢10歳の患児を約2年間口衛生指導下にて経過観察したところ,以下の知見を得た.
    1.放射線治療は42日間行われた.放射線治療開始後安静時,刺激時唾液分泌量はともに減少し,124日後にはほとんど認めなくなり,770日後でも元の唾液分泌量の半量以下であった.
    2.唾液緩衝能は安静時,刺激時唾液ともに同様に低下したが,放射線治療開始後770日後に安静時唾液は,ほぼ治療前と同様の値となった.
    3.放射線治療開始後652日後に歯科に来院した時にはすべての歯に脱灰を認めたため,フッ化物配合2剤型歯磨剤の供与とブラッシング指導,フッ化物塗布を行った.蛍光反射装置を使用して,脱灰後の治療の評価を行ったところ,すべての測定歯で輝度の上昇を認め,再石灰化が確認された.その初期変化率は47日後で4.2~10.2%であり,119日後で4.2~18.3%であった.
  • 小島 寛, 三浦 真理, 小口 春久
    2005 年 43 巻 5 号 p. 697-702
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯の先天欠如がみられるばあい,小臼歯群および大臼歯群ではそれぞれ遠心端から歯の欠如が起こるとする(列端退化)説が広く知られている.藤田が提唱したこの説にしたがえば,小臼歯部に欠如が起こる場合,第二小臼歯単独の欠如,または,第一・第二小臼歯の両者の欠如という様式はあっても,第一小臼歯単独の欠如はないことになる.これに対し,著者らは比較的最近,この法則性と矛盾する先天欠如症例を4例経験したので報告する.歯の先天欠如の診断はパノラマエックス線写真上で行い,先行乳歯と後継永久歯胚の位置関係から欠如歯種を判定した.
    [症例1]下顎左右側第一小臼歯が欠如し,同第二小臼歯は存在していた.
    [症例2]下顎左側第一小臼歯が欠如し,同第二小臼歯は存在していた.
    [症例3]下顎左側第一小臼歯が欠如し,同第二小臼歯は存在していた.
    [症例4]上顎左右側第一小臼歯が欠如し,同第二小臼歯は存在していた.歯の先天欠如に関する列端退化説は,小臼歯部において必ずしもすべての例に適用できるわけではないことが明らかになった.このことから,小臼歯部以外の歯群の欠如様式についても再検討する価値があるのではないかと考えられた.
  • 浅川 剛吉, 鈴木 基之, 浅川 麻美, 向山 賢一郎, 井上 美津子, 田中 光郎, 佐々 龍二
    2005 年 43 巻 5 号 p. 703-709
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯肉増殖にはさまざまな原因があるが,多くは適切な口腔清掃を行うことにより,健康な歯肉に回復することができる.しかしながら著しく増殖した歯肉においては,口腔清掃だけでは健康な歯肉に回復するのは困難である.
    今回我々は,歯周外科的に歯肉切除を行った症例を経験したため報告する.症例は,15歳の男児,上下顎に歯肉増殖を認め,下顎においては,臼歯部を覆うほどに増殖していたために咬合することが困難な状態であった.患児は,生後6か月に痙攣発作を起こし抗痙攣薬を服用し始め,3歳時には乳児重症ミオクロニーてんかんと診断されていた.
    著しく増殖した歯肉は,全身麻酔下にて歯周外科的に切除し,良好な術後経過を得た.本症例のような著しく増殖した歯肉に対し,外科的切除を行い咬合の回復や口腔衛生状態の改善をはかることは,患者のQOLを向上させる観点からも有用であると考えられた.
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