小児歯科学雑誌
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当科における外来外科手術の実態調査に基づく臨床統計的検討
松石 裕美子湯浅 健司福山 可奈子長谷川 智一岩本 勉福本 敏野中 和明
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2007 年 45 巻 4 号 p. 487-493

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抄録

九州大学病院小児歯科では,積極的に外来外科手術を行っている。その内容は主に埋伏過剰歯抜去,埋伏永久歯開窓・牽引,粘液嚢胞摘出,歯牙腫摘出,上唇小帯・舌小帯切除等である。今回著者らは,当科での外来外科手術について,画像および手術所見により臨床統計的検討を行った。対象は,2003年1月から2006年10月までの3年10か月間に,外来手術を目的に当科を受診した患児のうちエックス線写真,診療記録の資料が揃っている114名とした。外来外科手術の患児のうち,男女比は2対1と男児に多くみられた。手術内容については埋伏過剰歯抜去が全体の6割を占めていた。そこで,埋伏過剰歯抜去の内容について詳細に検討しところ,部位的には,上顎前歯部に最も多くみられ,萌出方向は逆生歯が8割であった。男女比は5対1で男児に多く,摘出時の平均年齢は7歳4か月であった。さらに,パノラマエックス線写真より過剰歯の位置関係の分類を行った。その結果,著者らが示した埋伏過剰歯の深度分類における深度1級(図5参照)においては,ほぼ全ての症例で骨削除が必要であった。また抜歯の難易度の判定としてこの分類が有効であることが示唆された。外来外科手術をおこなう際の術前診査において,抜歯等の歯科治療経験のない患児に行う採血(血液検査)は術中での協力状態をみる上で有効であった。血液検査において白血球増多症などの血液所見の異常をみつけることがあった。血液検査を行えない患児は手術の時期を延期するなどの措置をとり,比較的協力状態の良好な患児に絞って処置を行ったことは,時間の短縮につながったと言える。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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