小児歯科学雑誌
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大学病院小児歯科外来における最近7年間の有病小児の実態調査
八若 保孝岩渕 英明伊藤 佐智子加我 正行
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2007 年 45 巻 5 号 p. 623-631

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抄録

有病小児,とくに内部障害を有する小児は,全身管理の困難性,易感染性や止血の問題などにより,一般の歯科治療では対応できない面が多い。このような現状の中で,我々は,有病小児に関する歯科治療ならびに口腔管理において,今後医科と歯科の連携がさらに重要となることを考慮し,当科における内部障害を有する有病小児の最近7年間(平成12~18年)について実態調査を行い,以下の結果を得た。
1.初診患児における有病小児の占める割合は,おおむね一定であり,約10%であり,1~3歳の年齢層の有病小児が最も多く認められた。
2.北海道大学医学部附属病院ならびに北海道大学病院医科診療科からの紹介が全体の67.4%を占めていた。
3.疾患別では,血液疾患が最も多く,ついで心,脳,腎,肝疾患の順であった。
4.歯科疾患実態調査と比較して,対象となった有病小児は一人平均DMF歯数,一人平均def歯数が大きな値を示し,有病小児に齲蝕が多い傾向が示された。
5.未処置歯を有する有病小児は,有病小児全体の36.5%で,大きな値を示した。
6.病院の統合前と統合後についての比較の結果,大きな差異は認められなかった。
以上のことより,有病小児は健常児に比較して,口腔内管理がより重要であるにもかかわらず,良好な口腔内状態を有していないことが示された。今後,有病小児の口腔管理が円滑に行われるよう,今回の結果をもとにさらなる医科との連携強化の必要性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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