日本体育学会大会予稿集
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第67回(2016)
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一般研究発表(05) バイオメカニクス
05バ−26−口−16 バレエダンサーの表現を伴う上肢動作にみられる運動学的個人差
*河野 由水村 真由美
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p. 175_1

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抄録

 バレエダンサーは上肢の動きで作品に登場する人物の役柄や感情を表現するが、表現を伴う動作には、経験者であっても大きな個人差が存在する可能性が高い。そこで本研究の目的は、表現を伴う上肢動作の運動学的指標の個人差を上級者と中級者で比較することにより、身体表現の個人差と技術水準の関係を明らかにすることとした。対象は、海外のバレエ団に所属するプロ3名、アマチュア上級者6名、アマチュア中級者14名であった。対象者にバレエ作品『白鳥の湖』でみられる白鳥の羽ばたきを模した上肢動作を実施させ、その様子を光学式カメラで撮影した。その後、肩、肘、前腕、手、MP関節角度を算出した。各対象者の上肢挙上および下降局面の時間を100%として規格化し、規格時間1%ごとに各関節角度を平均した後、変動係数(CV)を算出した。その結果、算出した関節角度の中で手関節屈曲/伸展動作のCVが最も大きく、特にプロでは上肢下降局面の最大下降付近でCVが大きかった。これらの結果から、表現を伴う上肢動作において、技術水準が高くなると手関節屈曲/伸展動作の個人差が大きかったことから、手関節屈曲/伸展動作にダンサー個人の表現特性が内在している可能性が示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本体育学会
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