日本体育学会大会予稿集
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第67回(2016)
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一般研究発表(12) スポーツ人類学
12人−24−口−06 日比谷公園で鉄棒するひとたち
その行動の今日的意味
*福地 豊樹
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p. 329_3

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抄録

 東京日比谷公園で鉄棒を行うサラリーマンたちの姿が2004年8月にNHKの番組により紹介され、話題を呼んだ。毎朝、出勤前、さらに昼休みに鉄棒にぶら下がるひとたち。それぞれが鉄棒を行う理由は異なっている。本発表は、2014年にそのひとたちに聞き取りを行った内容の報告と若干の考察である。様々なスポーツが実践される昨今、鉄棒への指向は、極めて稀な現象と言える。4名の実践者の聞き取りの結果からは、その理由は多義に渡ることが明らかとなる。ひとつは、身体が変化することの面白さへの気づき。ふたつには、技が出来ることの面白さの気づき。三つには、学齢期の鉄棒の経験と運動する集団の存在。四つには、鉄棒を行うのに都合が良い場の存在。今回の4名のひとたちの公園での継続年数は様々(3年、10年、46年、56年:2014年現在)であり、集団の形成に特徴がみられた。長いひとでは、戦後間もない頃から今日までの継続、何がひとびとを突き動かしてきたのか、その行動の意味を考えてみたい。彼らへのマスコミの着目度は高く、面白おかしく論じることが散見できるが、4名の語りからは、運動や身体に関わるそれぞれの生活史を読み解くことができる。

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