日本体育学会大会予稿集
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第68回(2017)
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一般研究発表(05) バイオメカニクス
05バ−10−口−10 クロール泳に適応した肩甲上腕リズムの検討
*杜 唐慧子矢内 利政
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p. 145_1

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抄録

 クロール泳では上肢が可動域の限界に達する局面があると報告されている。上肢の運動は肩甲骨の運動と肩甲上腕関節運動を総合した運動であり自由度が高いことから、上肢が達し得る各肢位を構成する関節角度の組み合わせは1種類に限定されない。したがって、組み合わせの適正化により肩障害の因子である過大な肩甲上腕関節運動を回避できると考えられる。そこで、本研究では遊泳中に上肢が可動域限界に到達しつつも、肩甲上腕関節は生理的可動域の範囲内に納まるような肩甲上腕リズムを有するかを調べることとした。健常な大学水泳選手17名を研究対象に、電磁ゴニオメーターを用いて肩複合体の三次元運動を計測した。各被験者について肩複合体の可動域の全容を定量化し、クロール泳における運動と比較した。その結果、上肢が可動域の限界まで到達する局面が1ストローク周期の22.6±13.8%で、その内の約84%で肩甲上腕関節は可動域の範囲内に納まっていた。腕が大きく挙上した肢位で内旋する局面(入水からキャッチ)において肩甲骨が大きく上方回旋位し前方傾斜するという特殊な肩甲上腕リズムを行うことにより、過度な肩甲上腕関節運動が回避されたものと考えられる。

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© 2017 一般社団法人 日本体育学会
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