日本体育学会大会予稿集
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第68回(2017)
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一般研究発表(05) バイオメカニクス
05バ−10−口−15 野球の投球におけるボールの高低のばらつきと投球腕の第2指及び第3指の運動
*小嶋 武次
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p. 146_3

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抄録

 Hore et al.(1996)は、座位・体幹固定での前方の的へのテニスボールの投球時の上肢と手指の角度(指は第3指のみ)を調べた。そして、第3指末節の手掌に対する角度が早期に「伸展」度を大きくしている場合ほど的に対してボールが高くなる傾向にあり、これがボールの高低の誤りを決める大きな要因であると報告した。本研究の目的は、野球の投球の際の指の運動とボールの高低との関係を探ることである。大学野球部に所属する男子選手8名が実験室内で前方の的を狙って行った普通に近い投球(硬式ボール)について、投球腕の肘から先の部分とボールの運動及びボールリリース時のボールの投射角を調べた。そして、第2、3指の運動とボールの投射角について重相関分析を行った結果、該当する関節部位は必ずしも同一ではないが、ボールリリース約0.014-0.012秒前の関節角速度を説明変数にすることで6名の選手で自由度調整済寄与率が増大した。この結果は、野球の投球においては指の伸展度合いとは別に、ボールが指上を急激に転がる際の初期段階での指の伸展速度もボールの高低のばらつきを決める要因になる場合があることを示唆している。

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