主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第68回大会
開催地: 静岡大学/静岡県コンベンションアーツセンター
開催日: 2017/09/08 - 2017/09/10
p. 147_2
野球の打撃動作では、バット・ヘッドスピードの増大に伴って、バットの操作を難しくさせる大きな遠心力が作用する。このため、スウィング動作が開始される以前の姿勢を変化させることは、その後の動作を変化させることよりも比較的容易であると考えられる。本研究では、バットの振り出しにおける上半身の姿勢変化がその後のスウィング動作に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。23名の被験者にはティー打撃動作を行わせ、その際の身体およびバットの三次元座標を自動動作分析装置によって計測した。そのうち1名の被験者を選定し、バット・ヘッドの移動距離が最小となるように最適化計算(焼きなまし法)によって上半身の各関節角速度の値を変化させた。
その結果、バットの振り出しにおける姿勢変化の影響は、バットの振り出し時点から約0.1秒間(規格化時間の約47%)となり、その際のバット・ヘッドの移動距離は、計算値が計測値に対して約10%短くなった。これらの動作への影響には、主にバレル側肩関節の屈曲伸展、内外転および内外旋、ならびに体幹関節の前後屈軸による動作の寄与が明らかとなった。