日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第68回(2017)
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シンポジウム
身体の「規律訓練」権力と「自己への配慮」
–フーコー・モッセ・シュスターマン–
釜崎 太
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p. 26_3-27

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抄録

 フーコーは、近代的な「規律訓練」権力のひとつの特徴を、師範(模範例)からプログラム(マニュアル)へ、と表現している。それとは対照的に、モッセは模範のシンボリックな表現に「規律訓練」権力の特徴を見出している。「粘土の塊から人間の身体をかたどる権力」の存在を暴いてみせたのがフーコーであったとすれば、モッセは「無色の粘土に色つきの液体を染み込ませる権力」の存在を実証してみせたのだと言えよう。本報告ではまず、トゥルネンを対象化したモッセが課題として残した、スポーツにみられる「規律訓練」権力の特徴を描き出す。

 この近代的な権力関係を作動させる、科学者の知(理想的なプログムや模範の提示を可能にする、身体の細部にわたる知、一覧表、善/悪の二項図式等)を超えて、シュスターマンはフーコーの「自己への配慮」を再解釈し、新しい身体教育と身体文化の可能性へと道を拓いている。本報告では、教育思想や現代思想の世界で高く評価されながらも、体育界では十分に理解されてきたとは言い難い(むしろ誤解されることが多かった)三人の思想家を取り上げ、それぞれの原典に立ち返ることで得られる現代体育・スポーツへの示唆について考えたい。

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