主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第68回大会
開催地: 静岡大学/静岡県コンベンションアーツセンター
開催日: 2017/09/08 - 2017/09/10
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スポーツには文化に規定された「共通の慣習」(common practice)が存在する。A.ブラウンは、ベースボールにおける報復死球を例に挙げて、「時と場合によっては、明文化されているルールに従うよりも、慣習の方が優先されることがある」と指摘する。慣習とは、ある世界において、長い時間を経て成立・発展し、一般的に認知されている伝統的な行動様式である。すなわち人間の身体的活動は、文化としての慣習によって規定されており、それはその国の文化に内在する「暗黙のルール」(unwritten rules)と呼ぶことも可能であろう。また文化の相異によって、その国特有のスポーツ観の異同もみることができる。R.ホワイティングは「ある民族をよく知るためには、その民族が好んで行う競技を研究することが必要である」と指摘する。アメリカンスポーツのもつ大衆化(publicity)への強い関心やメンバーチェンジの思想、そしてエリート主義やフェアプレイの精神を原点とする英国のスポーツ観は、そのことを顕著に示している。本研究は、文化に規定された身体と慣習をスポーツにおける暗黙のルールを手掛かりに考察するものである。