日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
ISSN-L : 2424-1946
第68回(2017)
会議情報

一般研究発表(00) 体育哲学
00哲-10-口-09 スポーツにおける暗黙のルール
文化に規定された身体と慣習
*小俣 翔平
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 62_3

詳細
抄録

 スポーツには文化に規定された「共通の慣習」(common practice)が存在する。A.ブラウンは、ベースボールにおける報復死球を例に挙げて、「時と場合によっては、明文化されているルールに従うよりも、慣習の方が優先されることがある」と指摘する。慣習とは、ある世界において、長い時間を経て成立・発展し、一般的に認知されている伝統的な行動様式である。すなわち人間の身体的活動は、文化としての慣習によって規定されており、それはその国の文化に内在する「暗黙のルール」(unwritten rules)と呼ぶことも可能であろう。また文化の相異によって、その国特有のスポーツ観の異同もみることができる。R.ホワイティングは「ある民族をよく知るためには、その民族が好んで行う競技を研究することが必要である」と指摘する。アメリカンスポーツのもつ大衆化(publicity)への強い関心やメンバーチェンジの思想、そしてエリート主義やフェアプレイの精神を原点とする英国のスポーツ観は、そのことを顕著に示している。本研究は、文化に規定された身体と慣習をスポーツにおける暗黙のルールを手掛かりに考察するものである。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本体育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top