主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第69回大会
開催地: 徳島大学常三島キャンパス/あわぎんホール
開催日: 2018/08/24 - 2018/08/26
p. 111_1
筆者(2014)は、質的研究手法であるM-GTAを用いて、試合直前における指導者の言葉がけがスポーツ選手の動機づけに影響する要因を抽出し、それらの構造とプロセスを選手側の視点から探究した。そこで本研究は、質的研究によって抽出された要因と構造化された仮説モデルに基づいて、作成した心理尺度により各要因を評価し、選手が試合直前の指導者の言葉がけによって動機づけられるまでのプロセスを構造方程式モデリングによって検証することを目的とした。
そして最終的に採択されたモデルは、「指導者への尊敬」3因子、「選手の心的構え」2因子、「認知的評価(対処への評価)」1因子、「感情」2因子、「動機づけ」2因子によって構築されたプロセスモデルであった。このモデルは、重要な他者である指導者への尊敬によって予め形成された選手の心的構えが、「認知的評価(対処への評価)→感情→動機づけ」もしくは「感情→動機づけ」という選手の動機づけに影響するまでの2つのプロセスを調整しており、そのプロセスを経て表出されたポジティブあるいはネガティブな感情は、競技に対する動機づけに強く働きかけていることを説明していた。