主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第69回大会
開催地: 徳島大学常三島キャンパス/あわぎんホール
開催日: 2018/08/24 - 2018/08/26
p. 16_2
“Think globally, act locally”
諸説あるようだが、細菌学者のデュボスが1972年に開催された人間環境会議で用いたものがこの言葉の端緒であるといわれている。この言葉の意味するところは、「地球規模の視点で物事を考え、身近なところ(ローカル)で行動する」ということであるが、民間企業のビジネス、大学教育、またスポーツ界においても「グローバル化」の視点は不可欠な要素となっている。しかしながら、上杉(2014)が指摘しているように、グローバル化は、地域や地方の伝統的かつ固有の社会や文化を圧倒させ、消滅させるという「グローバル化の均質化論」と、グローバル化した文化要素と地域・地方の伝統的な文化要素を結びつけて雑種化したり、伝統的な要素を刺激して新しい文化を生成させたりする「グローバル化の多様化論」という2つの側面が存在する。日本の魅力発信、海外展開、インバンドの振興を基軸とした「クールジャパン戦略」に対する「地域スポーツコミッション」や、大学・学生連盟・競技団体による自助努力で進められてきた課外活動に新しい価値を付与し、「スポーツの成長産業化」までを視野に入れた「日本版NCAA」など、スポーツ界においても多様化と均質化の間で揺れ動いている。上記の2つの事例を手がかりに、「グローカル」という視点からスポーツによる地域活性化を実質化させる方策について考えてみたい。