主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
p. 182_2
本研究では、小学校児童における50m走の疾走速度変化を経年的に測定し、走タイムの短縮が生じる機序について明らかにすることを試みた。被験者は全力疾走に支障のない健常な児童50名(男子24名、女子26名)であった。被験者には、実験試技としてスタンディングスタートからの50m走を1本行わせた。各被験者の実験試技において、被験者が疾走を開始してから終了するまでの被験者の疾走速度を、レーザー式速度測定器(LDM301S)を用いて100Hzで測定した。得られた時間―距離データおよび時間―速度データを元に、Prendergast(2001)が提案する数式を用いて数式化して、疾走速度変化の様態に関する各変数(最大疾走速度とその到達距離および到達時間、加速・疾走・維持の各局面の距離および時間、累積速度偏差)を算出した。分析に用いたデータは、毎年9月に5年間にわたって同一の児童を対象に測定されたものであり、これらを元に疾走能力の縦断的な変化を検討した。その結果、5回の測定を通じて、走タイムは有意に短縮し、最大疾走速度も有意に増大していた。一方、疾走速度変化パターンの変容の傾向は被験者によって異なっていた。