主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
p. 258_2
水難者の多くは、完全または部分的に衣服を着た状態で水難事故に遭遇しているため、安全確保・生命維持の観点から、着衣のまま水中に落ちた場合の対処の仕方を学習することは重要である。近年、衣服の着用が水中での身体の浮き方に影響する可能性が指摘されている。本研究では、夏の軽装を想定した衣服の着用が、水中におけるヒトの肺気量、浮力および水平姿勢に及ぼす影響を検証した。10名の男子大学生を対象に、全ての測定はストリームライン姿勢で実施した。対象者の重心測定は陸上にて実施し、水中浮力測定は水着条件と着衣条件とした。水着条件では腰から膝上丈のスパッツ型水着を着用した。着衣条件ではスパッツ型水着に加えて体育授業用のTシャツとハーフパンツ(共にアクリル100%)に服装を統一し、軽量シューズを着用した。肺気量の測定は差圧積分型流量センサを用いた。浮力測定は引張圧縮両用型小型ロードセルを用いた。検証の結果、着衣時は水着時に比べて肺気量が有意に減少したが、浮力に違いは認められなかった。浮心重心間距離は着衣時で有意に短縮し、より水平に近づくことが示唆された。