主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
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パラリンピック選手の競技環境を取り巻く課題として、若手選手の育成と身近な練習環境の整備が指摘されている。水泳競技はプール施設を共有することから、育成世代においてもパラ水泳選手と健常の水泳選手が共に練習できる。パラ水泳選手が健常の水泳選手と共に練習することを健常の水泳選手が受け入れる過程にはどのような要因が関係するだろうか。そこで本研究は、弱視のパラ水泳日本代表選手が強化の場として大学水泳部の練習に参加した事例を通して、大学水泳部員のパラ水泳選手に対する意識変容過程を明らかにすることを目的とした。方法は、大学水泳部員を対象に半構造化面接を用いた質的分析法とした。その結果、大学水泳部員のパラ水泳選手に対する意識変容過程は、外部から来る練習生と同じような存在から、段階を経てチームの一員としての認識に変化することが明らかになった。また、大学水泳部員の意識変容には、競技特性やパラ水泳選手の性格、大学水泳部の組織体制など複数の要因が関係することが明らかになった。よって、本事例では、パラ水泳選手が大学水泳部員と共に練習する競技環境の有効性が示唆された。